日本政治、歴史的転換点へ:2025年参院選、自公大敗と石破政権の試練

2025年、夏の決戦となった第27回参議院選挙の結果を受け、日本政治は中長期にわたる不安定な局面に突入しました。今後、衆参両院の過半数を単一または二つの政党で制することが困難になるだろうとの見方が強まっています。与党である自民党と公明党は歴史的な大敗を喫し、衆議院に続いて参議院でも少数与党に転落、石破茂首相率いる現政権は厳しい試練に直面しています。

第27回参院選、与党が過半数割れ「少数与党」に転落

7月20日に投開票が行われた第27回参議院選挙は、与党・自民党が39議席(公示前より-13)、公明党が8議席(同-6)と、ともに大幅に議席を減らし、大敗を喫しました。これにより、自公両党は非改選議席と合わせても122議席にとどまり、過半数(125議席)を割り込む結果となりました。石破茂首相(自民党総裁)は、自ら必達目標として掲げた「自公50議席」を下回る47議席という結果にもかかわらず、開票速報中のNHKやTBSで「比較第1党の責任がある」「政治空白を作らない」と述べ、続投を表明しました。この姿勢は「自分ファースト」と評される声も上がっています。

石破政権の難航と自民党内の権力闘争

参院選での与党大敗を受け、自民党内では石破首相の退陣とそれに伴う総裁選の実施を求める声が、旧安倍派や麻生派などから強く上がっており、旧派閥単位での権力闘争の様相を呈しています。党内の一部からは下野論も出ていますが、立憲民主党など野党側が政権を形成する準備ができていない現状では、「石破降ろし」の一環と見られています。

7月28日に開催された自民党両院議員懇談会では、石破首相の責任を問う声が8割近くに上りましたが、首相は続投の理由として「日米関税交渉の合意を着実に実行する」ことなどを挙げました。森山裕幹事長は、参院選総括委員会を設置し8月中に報告書をまとめる段階で「自らの責任については明らかにしていきたい」と辞任を示唆。しかし、「石破降ろし」の動きは収まらず、自民党は翌29日の役員会で、重要事項の議決権を持つ両院議員総会を8月8日に開催することを決定しました。

2025年7月28日、自民党両院議員懇談会に出席する石破茂首相(右)と森山裕幹事長。参院選後の政局における党内協議の様子。2025年7月28日、自民党両院議員懇談会に出席する石破茂首相(右)と森山裕幹事長。参院選後の政局における党内協議の様子。

石破首相と森山幹事長は政権の安定運営を目指し、自公連立に日本維新の会や国民民主党を参加させようと水面下で交渉を進めていますが、首相の進退問題と絡むため、その行方は不透明です。

「国家戦略なきポピュリズムの時代」到来か:多党化の進展

今回の参院選は多党化の進展を強く印象付ける結果となりました。既存政党である自民、公明、共産、社民各党が軒並み議席と票を減らし、立憲民主党は現状維持にとどまる一方で、新興政党の国民民主党と参政党が議席を大きく伸ばしました。この結果は、日本の二大政党制が一旦終焉を迎え、各党が連立政権構築のための政策合意を模索する中で、官僚批判や財源軽視の政策を前面に押し出す「国家戦略なきポピュリズムの時代」に入ったことを示唆していると言えるでしょう。

具体的な改選議席数は、自民39、公明8、立憲民主22、維新7、共産3、国民民主17、れいわ新選組3、参政14、社民1、保守2、無所属野党系7、その他2の計125議席でした。自民党関係筋は、今回の与党大敗の直接的な敗因として、「保守(右派)層、若年層、経済政策重視派が離れた」ことを指摘しています。

まとめ:日本政治の新たな局面と展望

第27回参議院選挙は、与党の歴史的な大敗と石破政権の不安定化を招き、日本政治は新たな局面を迎えました。過半数割れとなった自公連立政権は、党内外の厳しい声に直面し、新たな連立パートナーの模索も困難を極めています。また、選挙結果は、既存政党の求心力低下と新興政党の台頭、そして「国家戦略なきポピュリズムの時代」への移行を示唆しており、日本政治の未来には不確実性が漂っています。今後、各政党がどのように連携し、この不安定な時代を乗り越えていくのか、その動向が注目されます。


参考文献:

  • PRESIDENT Online (2025年8月8日). 「石破首相、参院選大敗で「自分ファースト」続投表明…日本政治は「国家戦略なきポピュリズムの時代」に突入するのか」. https://president.jp/articles/99737
  • 時事通信フォト (画像出典).