作家の深沢潮さんが8月4日、週刊新潮に掲載されたコラムが外国にルーツを持つ人々への差別にあたるとして、発行元の新潮社に謝罪と反論の場を要求する記者会見を行いました。この問題は、メディアの表現の自由と社会的責任について広く議論を呼んでいます。
作家・深沢潮さん(右)と佃克彦弁護士が新潮社への謝罪要求記者会見に臨む様子。週刊新潮の差別的コラム問題に関する会見で、外国ルーツの人々への人権侵害を訴える。
深沢氏の要求と新潮社の対応
深沢さん側は、コラムの差別的・人権侵害的言及に対し、深沢さんへの書面での謝罪と、週刊新潮誌上での8ページ反論スペース提供の2点を要求。これを受け新潮社は同日、「深沢潮様の心を傷つけたこと」を公式サイトで「お詫び」し、要求を「真摯に対応を検討する」と表明しました。さらに6日には「新潮社は人種、国籍などに基づくあらゆる差別に反対」を明言し、人権デューデリジェンス担当役員選任と担当部署の新設を発表しました。
問題のコラムと深沢氏の訴え
問題のコラムは週刊新潮7月31日号掲載、元産経新聞記者・高山正之氏の連載「変見自在」内「創氏改名2.0」です。高山氏は外国人の日本国籍取得問題で持論を展開し、深沢潮氏、東北大学の明日香寿川教授、俳優の水原希子氏らを名指し。「日本も嫌いなら日本名を使うな」と差別的な見解を述べました。
2012年に新潮社の文学賞受賞でデビューした深沢さんは、「信頼していた版元に心が打ち砕かれた」と心境を吐露。会見に踏み切ったのは、個人的感情に留まらず「レイシズムに基づいた差別扇動」を是正するためと説明しました。通称名が差別に遭う人々を守る手段である現実を挙げ、コラムが在日コリアンをはじめとする外国ルーツの人々に与える恐怖を訴え、涙声になる場面もありました。代理人の佃克彦弁護士は、「創氏改名」のタイトルが植民地時代の強制改名政策を想起させ、コラムの「悪質さを上塗りしている」と指摘しています。
広がる抗議の声
このコラムに対しては、深沢さんの会見以前から、桐野夏生氏、村山由佳氏、中島京子氏、東村アキコ氏ら約40人の著名な作家、漫画家、弁護士、大学教授らが連名で抗議の声を上げていました。
結論
今回の問題は、メディアの表現の自由がどこまで許容され、いかなる社会的責任を負うべきかという問いを改めて突きつけています。新潮社の今後の対応と、日本社会における差別表現への意識の高まりが引き続き注目されます。
参考文献
- 週刊金曜日 発行人 文聖姫氏による報告
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