長年にわたりプロ野球界を牽引してきた中嶋聡氏が、野球トークバラエティ番組「ダグアウト!!!」(BS10)に登場し、現役時代から監督時代に至るまでの知られざる本音と裏話を披露しました。MCの上田まりえ氏、岡田圭右氏と共に、プロ野球界の奥深さを語り尽くしたその内容を深掘りします。
野球トークバラエティ「ダグアウト!!!」でMCの上田まりえと岡田圭右と共に語るプロ野球監督・中嶋聡
中嶋聡が選ぶ「俺のベストローテ」:調整力重視の松坂大輔、規格外の大谷翔平
番組冒頭のコーナー「俺のベストローテ」では、中嶋氏が自身の経験から選んだ理想の6人を選出しました。開幕投手に指名したのは、かつて埼玉西武ライオンズでバッテリーを組んだ松坂大輔投手です。一般的にエースが開幕投手を務めるイメージがありますが、中嶋氏は「開幕日に合わせて準備ができる投手が理想」という独自の視点を展開。松坂投手の入念なブルペンでの調整力と、現役時代の「直感的に勝てると感じた」経験が選出理由となりました。この説得力ある持論に、スタジオの岡田氏と上田氏も深く頷く場面が見られました。
続いて2番手には、スローカーブで打者を翻弄した星野伸之投手を指名。中嶋氏が現役時代に星野投手の球を素手でキャッチしたという逸話も紹介され、「気を使いました」という本音に、岡田氏から「気を使ってたら素手でキャッチするか」という鋭いツッコミが入り、スタジオは笑いに包まれました。そして6人目のローテーションには、いまや球界を代表する大谷翔平選手の名前が挙がります。北海道日本ハムファイターズ時代に選手兼コーチとして間近で大谷選手を見ていた中嶋氏は、入団当初の“二刀流への賛否両論”を振り返り、「誰が、どちらを辞めさせるんだ? 誰がそんなことを言えるんだ?」と当時の論争に対する率直な思いを吐露。投打ともに規格外の才能を持つ大谷選手を肌で感じていた中嶋氏だからこその、重みのある言葉でした。
岡田圭右が迫る「吉田正尚のオリックス復帰」:中嶋聡の冷静な視点とファンへのエール
番組中盤、熱狂的なオリックスファンである岡田氏が中嶋氏に「吉田正尚をオリックスへ返してもらえませんか?」という“禁断の質問”を投げかけました。メジャーリーグで多くの日本人選手が活躍する中、吉田選手は怪我の影響で映像がほとんど見られない状況にあり、オリックスファンが抱える悲しみを代弁するかのようでした。「どうにかならんか?」と必死に訴える岡田氏に対し、中嶋氏は「これはボストンとの…」と苦笑いしながらも、「本人はまだ残りたいんですよ」と冷静に回答。
中嶋氏は春のキャンプで吉田選手と顔を合わせ、怪我が徐々に回復していることを確認していました。ボストン残留の可能性はさておき、「メジャーで絶対に通用する。DHであれば2割8分以上の打率は期待できる」と語り、ファンである岡田氏の気持ちを受け止める姿勢を見せました。これを聞いた岡田氏は最後に、「正尚!頑張ってくれ! ただ、帰りたいなと思ったらすぐ帰ってこい」と、親心に満ちた温かいエールを送り、スタジオは感動的な空気に包まれました。
「怪物・大谷翔平」を見出した名采配の意義:中嶋聡が語る二刀流の真実
現在でこそ、大谷翔平選手は誰もが認めるスーパースターですが、当初は「投打二刀流」という前代未聞の挑戦に対し、「器用貧乏になるのでは」という声も少なくありませんでした。どちらかに専念させた方が良いと考えるのは、彼の才能を見たからこその意見でもありました。しかし、そうした外部の声を受けながらも、コーチ陣が悩んだのは当然のことでしょう。前代未聞のレベルで投打の才能を高水準で両立する選手に対し、「片方を捨てろ」と宣告できる者がどれだけいたでしょうか。結果として、大谷選手が二刀流を貫き通せたのは、監督をはじめとするコーチ・首脳陣の英断があったからに他なりません。彼の才能を潰すことなく開花させたその「名采配」こそが、現在のメジャーリーグにおける大谷フィーバーを後押ししたと言えるでしょう。
昭和、平成、令和と時代を超えて選手、そして監督としてプロ野球界を築き上げてきた中嶋聡氏のトークは、野球に対する深い愛情に満ち溢れていました。今回の放送は、オリックスファンのみならず、プロ野球を愛するすべての人々にとって、非常に見応えのある内容であったと言えます。