米国、トランプ新関税を本格発動:国際経済への波紋と日本の動向

2025年8月7日、米国がドナルド・トランプ大統領主導による新たな厳しい関税措置を発動しました。これにより、数十カ国に及ぶ米国の貿易パートナーが、急騰した税率からの救済を求めて奔走しています。今回の措置は、輸入品を制限することで米国内の製造業を活性化させたいというトランプ政権の強い願望を示すものですが、多くの経済学者はこの政策がインフレを引き起こし、経済成長を鈍化させる可能性について懸念を表明しています。

新関税の概要と経済界の懸念

今回の関税発動により、これまでの10%の税率から、製品によっては15%から最大41%にまで引き上げられることになりました。トランプ大統領は、米国経済の回復と雇用創出を目的として国内製造業の強化を図っていますが、その一方で経済学者からは、輸入コストの増加が物価上昇(インフレ)を招き、消費者の購買力を低下させ、結果的に経済全体の成長を抑制するとの指摘が出ています。

企業や業界団体からも、新たな関税が特に米国内の中小企業に深刻な打撃を与えるとの警告が発せられています。米ジョージタウン大学のマーク・ブッシュ教授は、企業が上昇したコストを最終的に消費者に転嫁せざるを得なくなると予測しており、これは消費者物価の上昇に直結する懸念材料です。

2025年8月7日、ワシントンD.C.で撮影されたドナルド・トランプ米国大統領。米国による新関税発動の発表に関連する場面。2025年8月7日、ワシントンD.C.で撮影されたドナルド・トランプ米国大統領。米国による新関税発動の発表に関連する場面。

主要国・地域への影響と日本の状況

今回の関税措置は、多岐にわたる国々に影響を及ぼしています。欧州連合(EU)、日本、韓国からの多くの製品は、事前の米政府との合意があったにもかかわらず、15%の関税に直面しています。

日米間の貿易摩擦と自動車関税

特に日本と米国間では、貿易協定の条件に関して意見の対立が見られます。現在25%が課されている日本車の関税を15%に引き下げる時期について、日米両政府は依然として協議中です。また、日本製品に対する新たな15%の関税が、既存の関税に追加されるのか、それともEUのように多くの製品に対して上限が設定されるのかについても、両国間で認識の相違が存在しており、今後の交渉の行方が注目されます。

その他の国々では、インドが現在25%の関税に直面しており、これが3週間後には倍増する予定です。さらに、シリア、ミャンマー、ラオスといった国々には40%もの高率関税が課されることになります。スイスは39%という厳しい関税を回避するための交渉に失敗しましたが、同日開催された臨時会議後も引き続き引き下げに向けた取り組みを続ける意向を示しました。

まとめ

ドナルド・トランプ政権による新たな関税措置の本格発動は、米国経済だけでなく、世界の貿易秩序と各国の経済状況に広範な影響を及ぼし始めています。特に、日本を含む主要貿易相手国との間では、具体的な関税率や適用範囲を巡る調整が難航しており、国際貿易における不確実性が高まっています。今後の国際交渉の進展と、それが各国経済、特に日本の産業界に与える影響について、引き続き注視が必要です。


参照元

  • AFPBB News
  • 時事通信社 (Jiji Press)