2025年8月8日、NEXCO西日本は名神高速道路の大津SAを異例の「6時間全面閉鎖」すると発表しました。これは、同日に開催される「びわ湖大花火大会2025」に伴う過去の深刻な混雑と、高速道路利用者の安全確保を目的とした対策です。例年、花火大会の「特等席」として利用者の殺到により、名神高速の本線にまで渋滞が及ぶ事態が発生しており、今回の措置はその抜本的な解決を目指すものです。
大津SAの魅力と花火大会会場との位置関係
滋賀県大津市に位置する大津SAは、名神高速道路の重要なサービスエリアであり、大津ICに併設された大規模な施設です。琵琶湖の南岸に非常に近く、特に下り線は小高い場所にあるため、琵琶湖のビュースポットとしても知られています。この立地特性から、毎年8月8日に開催される「びわ湖大花火大会」の絶好の観覧場所として、一部の花火観覧客にひそかに人気を集めてきました。
名神高速道路 大津サービスエリアの外観。びわ湖大花火大会の観覧場所として人気を集めるこのSAは、今回異例の閉鎖対象となります。
過去の混乱とSA機能の麻痺
しかし、この「特等席」としての人気が、深刻な問題を引き起こしてきました。過去の花火大会では、無料での花火観覧を目当てとした来場者が大津SAの駐車場を占拠し、本来高速道路の休憩所であるSAの機能を麻痺させていました。トイレ休憩や買い物を利用したい正規のSA利用者が立ち寄れない事態が頻発し、さらにはSAに入ろうとする車両で「SA渋滞」が発生。この渋滞が名神高速の本線にまで伸び、2020年には上下線で25kmにも及ぶ大渋滞を引き起こしました。結果として、交通流が大きく阻害され、関西地方の大動脈である名神高速の機能が損なわれる事態に至ったのです。
NEXCO西日本による異例の「全面閉鎖」と詳細対策
こうした状況を受け、NEXCO西日本は、交通規制と安全確保のため、異例の大津SA閉鎖を決定しました。花火大会開始の4時間半前となる15時から21時までの6時間、上下線ともにSAが全面閉鎖されます。これは、事前に場所取りを目的とする来場者への対策であり、状況によっては閉鎖時刻が前倒しされる可能性も示唆されています。閉鎖時間中は、店舗、駐車場、トイレを含むすべての施設が利用不可となり、閉鎖時点で停車中の車両はすべて退出が求められます。さらに、上り線の展望スペースの一部や、下り線の休憩施設2階・3階の展望デッキなどは終日閉鎖され、リモート撮影などを試みる者への対策も徹底されます。
NEXCOからの呼びかけとSNSの反響
NEXCO西日本は、今回の大津SA閉鎖に関して利用者の理解を求めるとともに、閉鎖中は前後のサービスエリア・パーキングエリア(PA)である草津PA(上り線、約9km先)や桂川PA(下り線、約17km先)の利用を促しています。この対策に対し、SNS上では「これは賛成」「徹底すべき」といった名神高速の正規利用者からの賛同意見が多数寄せられています。一方で、「自分の利益しか考えない迷惑行為に厳しい措置は当然」といった、一部の花火観覧客への厳しい批判の声も上がっています。
花火大会前後の交通計画
大津SAの閉鎖により、花火大会前後の時間帯は周辺の休憩施設に混雑が集中することが予想されます。高速道路の安全な利用とスムーズな交通のため、びわ湖大花火大会へ向かう方、またはこの時間帯に名神高速道路を利用する予定の方は、早めに休憩を取ること、可能であれば別ルートへの迂回、あるいは利用時間の変更を検討することが強く推奨されます。