YOSHIKI、「ダンダダン」劇中歌の「紅」酷似を指摘!著作権問題から和解へ至る経緯と反響

X JAPANのリーダーYOSHIKIが、人気アニメ『ダンダダン』に登場した劇中歌について、自身の代表曲「紅」との酷似を指摘し、著作権問題へと発展する可能性を示唆しました。この一連の出来事は、SNS上で大きな波紋を呼び、音楽業界における著作権のあり方や、著名人のSNSでの発信方法について議論を巻き起こしています。本稿では、この話題の経緯と、関連する各方面からの反響、そしてその背景にある問題について詳細に解説します。

アニメ『ダンダダン』と話題の劇中歌「Hunting Soul」の登場

アニメ『ダンダダン』は、龍幸伸氏原作の人気コミックをアニメ化した作品です。幽霊を信じる女子高生と宇宙人を信じる少年が、怪奇現象と戦うオカルト青春物語として、国内外で高い人気を博しています。2024年10月に第1期が放映され、今年7月からは待望の第2期がスタート。Hulu、Netflix、Amazon Prime Videoなどの主要な有料動画配信サービスでも配信されており、その人気は世界規模で拡大しています。

問題となったのは、8月7日に放送された第18話で披露された劇中歌「Hunting Soul」です。「音を響かせる力があるバンド」として登場する架空のバンド「HAYASii」の楽曲として紹介されました。この曲は、ギターのアルペジオから始まり、激しいメタル調へと展開する重厚なサウンドが特徴です。8日にはYouTubeの「MBSanimation 公式チャンネル」でリリックビデオも公開され、公開からわずか数時間で48万回再生を超えるなど、大きな反響を呼びました。作詞・作曲・編曲はロックバンド・相対性理論のギタリストとしても知られる永井聖一氏が手がけ、プロデュースを牛尾憲輔氏、ボーカルを声優の谷山紀章氏、ギターをマーティ・フリードマン氏が担当するなど、実力派アーティストが集結して制作されました。

YOSHIKI氏のSNS投稿と著作権への懸念表明

この「Hunting Soul」に対し、X JAPANのYOSHIKI氏が沈黙を破ります。8月8日に更新した自身のXアカウントで、ファンが投稿した同曲の映像をリポストする形で、「《何これ、 XJAPANに聞こえない?》」と問いかけました。さらにその20分後には、リリックビデオのURLを添え、自身のスタッフアカウントやX JAPANの公式アカウント、アニメの英語版公式アカウントなどをメンションし、「《えー? この件何も知らないんだけど、こういうのってあり? ファンのみんな、何が起こっているのか教えて》」と、制作チームからの事前連絡がなかったことへの疑問を投げかけました。

YOSHIKI氏の懸念は、単なる楽曲の類似性だけに留まりませんでした。彼は「《この制作チーム、事前に一言ぐらい言ってくれれば良いのに.. @XJapanOfficial/@Yoshiki_Staffから緊急って連絡が来た》」と苦言を呈し、続く投稿ではX JAPANの代表曲「紅」の映像を添え、楽曲の酷似に加え、使用許諾などの連絡がなかったことを問題視している姿勢を明確にしました。さらに、「《最初これを知った時は、なんだか面白くて笑っていたら、弁護士達からも連絡がきた 著作権侵害の可能性があるとのことで、どうなるのだろね みなさん、この手のものは、多分先に関係者へ連絡した方がいいみたいだよ》」と述べ、著作権侵害の可能性について弁護士から連絡があったことを明かし、業界関係者への注意喚起も行いました。

YOSHIKI、「ダンダダン」劇中歌の「紅」酷似を指摘!著作権問題から和解へ至る経緯と反響

YOSHIKIがピアノを演奏する様子。アニメ『ダンダダン』の楽曲類似問題に言及し、SNS上で議論が巻き起こった。

ネット上の反響と「ソニーグループ」内の疑問

YOSHIKI氏が指摘するように、「Hunting Soul」が「紅」に酷似しているという声は、ネット上でも多数上がっていました。「《ここまで完璧な紅リスペクトになるとは…》《X JAPANの紅じゃん!? 令和の子は知らないだろうけどこのパロ大好き》」といったコメントが続出し、楽曲の制作意図がオマージュにあることは多くのユーザーに認識されていました。YOSHIKI氏自身も、同曲のリリックビデオのコメント欄で「《え、、、これ、X JAPANみたいじゃない? ファンのみんな、どう思う?》」と呼びかけ、さらなる議論を促しました。

しかし、YOSHIKI氏のこの対応に対して、一部からは疑問の声も上がりました。特に注目されたのは、アニメ『ダンダダン』の製作委員会に、ソニー・ミュージックエンタテインメントの子会社である製作会社「アニプレックス」が参加している点です。そして、YOSHIKI氏が指摘する「紅」の著作権を管理しているのが、ソニー・ミュージックパブリッシングであるという事実です。ソニー・ミュージックエンタテインメントはソニー・ミュージックパブリッシングの親会社にあたるため、「《ダンダダンはアニプレックス、そしてソニーの子会社なのに騒ぐ必要あるの?》」「《YOSHIKIさんとダンダダンの件 ソニー🟰アニプレックスだから 円満解決すると思います》」といった意見が寄せられました。これは、同じソニーグループ内で確認を取れば済む問題ではないか、という指摘であり、YOSHIKI氏が公に問題を提起したことへの違和感を示すものでした。

WEBメディア記者が語るSNS発信の是非と和解の兆し

WEBメディアの記者は、YOSHIKI氏が許可を取られていないことに何らかの思いを抱くことは当然であるとしつつも、その表現方法について言及しました。フォロワーが96万人を超えるYOSHIKI氏のXアカウントで、「弁護士から連絡がきた」などと大々的に明かすことは、「トラブルが起きているのでは?」という波紋を呼びかねない、と指摘しています。SNSで発信する前に、まずは弁護士などを通じて会社に確認を取ることを優先すべきだったのかもしれない、という見解を示しました。

実際に、YOSHIKI氏の対応に対してX上では、「《ダンダダンのYOSHIKIさんの件は『裏でやってくれ』って思うなー 『ファンのみんなはどう思う?』じゃないんよ 裏で粛々と決着つけてくれよ》」「《『みんなどう思う?』なんて周囲を煽る・ファンネル飛ばすようなツイートしてる時点でyoshikiって人はダセェなと思うよ。問題だと『本人』が感じたならTwitterでどう思う?なんて聞いてないでさっさと制作元に連絡入れればいいのに》」といった批判的な声が上がりました。著名人によるSNSでの発信が、時に意図しない形で炎上や誤解を招く可能性が浮き彫りになった形です。

しかし、その後、事態は好転の兆しを見せます。YOSHIKI氏の最初の投稿に、「Hunting Soul」でギターを担当したマーティ・フリードマン氏が「《Yes, my band and I did it out of love and respect for X Japan!(はい、私のバンドと私はX JAPANへの愛と尊敬を込めて演奏しました!)》」と返信。これに対しYOSHIKI氏は「《また一緒にセッションしましょう!》」と応じ、さらに続く投稿では、「《今気づいた!これって俺の林かな?笑 ”TV Anime “DAN DA DAN“ HAYASii” アニメ見たくなってきた》」と、自身の本名である「林」に言及しつつ、楽曲を好意的に受け入れている様子を見せました。このやり取りから、著作権などの問題は解決、あるいは関係者間で理解が得られたものと推測されます。

まとめ

YOSHIKI氏がアニメ『ダンダダン』の劇中歌「Hunting Soul」の「紅」酷似を指摘した今回の騒動は、SNSでの発言が持つ影響力の大きさや、音楽における「オマージュ」と「著作権侵害」の境界線、そして権利関係の適切なコミュニケーションの重要性を改めて浮き彫りにしました。最終的にはYOSHIKI氏が好意的な反応を示し、円満解決に向かったと見られますが、一連の出来事は、クリエイティブ産業における複雑な権利関係と、デジタル時代における情報発信のあり方について、多くの示唆を与えました。このようなケースが、今後のクリエイターや企業間のコミュニケーションを改善し、より健全なコンテンツ制作環境が築かれるきっかけとなることを期待します。

参考資料