長年にわたりフジテレビの要職を務め、フジサンケイグループ前代表を務めた日枝久氏(87)が、中居正広氏の性加害問題について、初めて公の場でインタビューに応じました。ノンフィクション作家・森功氏による「日枝久・フジサンケイグループ前代表 独占告白10時間」(文藝春秋2025年9月号)から、その詳細をお伝えします。フジテレビの「上納文化」や「企業風土」が厳しく批判される中、日枝氏の語る「知らなかった」という驚きの証言が、波紋を広げています。
日枝氏「中居さんとも被害者社員とも会ったことがない」と全面否定
中居正広氏の性加害問題を巡り、「上納文化」や「企業風土」といった言葉が盛んに用いられ、フジテレビの企業体質、そして長年組織に君臨してきた日枝氏への批判が高まっていました。大物芸能人による犯罪に近い性暴力行為と、その温床とされるアナウンサーへの「上納接待」が結びつけられ、日枝氏がその元凶であるかのような指摘もなされています。しかし、実際の行為現場やフジテレビ社内で何が起きていたのか、未だ判然としない部分も少なくありません。森功氏は、これらの核心について日枝氏に深く切り込みました。
日枝久氏、腰椎圧迫骨折からの回復後に中居正広氏問題について語る
日枝氏は、自身がこの問題を知った時期と経緯について次のように語っています。「初めに知ったのは、2024年暮れの『週刊文春』の取材のときでした。その日はちょうど港浩一(前フジテレビ社長)と夕食をとる約束があり、『銀座うかい亭』に向かったところ、店の前に文春の記者がいて、中居問題を質問されたのです。しかし、僕はそれまで中居さんとも被害者の社員とも会ったことがありませんでしたし、何も知らなかった。だから記者には、『そんなことがあったの?』程度の回答しかできませんでした。意図的に無視していたわけではなく、本当に知らなかったのです。港は僕より先に店に入っており、彼もその前に文春記者の取材を受けていました」。彼は、問題の核心にいながらも、全く知らなかったと強調しました。
中居問題報道の時系列と日枝氏の認識
中居正広氏の性加害事件の第一報は、「週刊文春」からではありません。正確には、2024年12月19日発売の「女性セブン」が、「中居正広 巨額解決金 乗り越えた女性深刻トラブル」と題した特集記事で最初に報じました。「週刊文春」が「中居正広9000万円 SEXスキャンダルの全貌」を掲載したのは、その後の12月26日発売号です。したがって、日枝氏がこの中居問題の存在を具体的に認識したのは、「女性セブン」の発売と同日である2024年12月19日だったとされています。
日枝氏の独占告白は、フジテレビにまつわる「上納文化」や性加害問題の議論に新たな局面をもたらしました。メディア界の重鎮が「全く知らなかった」と語った事実は、今後の責任の所在やメディア企業のガバナンスに大きな問いを投げかけます。この証言が、一連の疑惑解明にどう影響するか、今後の動向が注視されます。