会計士芸人・星野光樹が明かした税務調査の裏側:先輩の売れ行きを巡る「職業倫理」と「葛藤」

お笑いコンビ「Gパンパンダ」の星野光樹が、日本テレビ系「大悟の芸人領収書」で、早稲田大学在学中に公認会計士資格を取得したエリート芸人ならではの、ある「葛藤」を打ち明けた。それは、先輩芸人の税務調査に立ち会った際、税理士としての「品位」と芸人としての「情」の間で揺れ動いた衝撃的な告白だった。

「大悟の芸人領収書」で明かされた驚きの事実

星野光樹は、公認会計士の資格を持ち、現在は芸人活動と並行して税理士としても活躍し、芸人仲間の税務相談に乗っている。そんな彼が、過去に経験した「みちがえる」のたけしの税務調査における秘話を披露した。この一件は昨年、番組内で一度語られている。当時の税務署は、たけしのあまりに少ないお笑い収入から彼を「芸人とは認めない」「趣味でお笑いやっている水道検針員だ」と指摘。しかしその後、税務署員がたけしのライブに足を運び、客に全くウケない中でも必死にネタを続ける姿に感銘を受け、「我々税務署は、あなたを芸人として認めます」と、最終的に芸人としての経費が認められたという顛末だった。

星野は、この「税務調査史上初」とも言える異例の事態に同席し、「経費が不当ではないかとか、売上げがおかしいとか言われると思ったら、芸人であることを証明しないといけない想定外の調査だった」と語った。彼は「この人は平場のトークは面白いです」などと必死に説明したという。しかし、彼にはたけし本人には話していない「秘密」があった。

税理士としての葛藤:先輩芸人の「売れるか否か」

税務調査の最中、たけしがトイレで部屋を離れ、税務調査官と星野の2人きりになる時間があった。その時、調査官は星野に対し、事業は初期に赤字が出ることはあるものの、将来的に確実に収益が見込めるのであれば事業として認められる、と前置きした上で、衝撃的な質問を投げかけた。「星野先生。税理士の見地から、たけしさんは数年以内に売れますか?」

この問いに対し、星野は激しい葛藤に苛まれた。「もちろんお世話になっている先輩。この人は売れます、と言いたい」。しかし、彼は国家資格である税理士の身。「税理士法第37条に『税理士の信用または品位を害するような行為をしてはならない』とある」。この職業倫理が彼の心に重くのしかかった。数々の思いが交錯した結果、星野は最終的に「ここ数年では無理そうです」と、苦渋の決断を下し、税理士としての立場から回答してしまったのだ。

誠実な回答がもたらした「心残り」と「大悟の反応」

スタジオからは「なんで言えないんだよ!」といったツッコミが相次いだが、星野は「難しそうと言ってしまったことが心に引っかかっていて、クライアントに普通請求するコピー代、請求できなかった」と、その時の「心残り」をポツリと漏らした。これを聞いた千鳥の大悟は、星野の抱える罪悪感を察し、220円の領収書を自ら受け取り、「いい。これはワシが払う。その話は墓場まで持っていけ」と豪快に笑い飛ばした。

芸人・税理士の星野光樹の話に耳を傾け、笑みを浮かべる千鳥・大悟芸人・税理士の星野光樹の話に耳を傾け、笑みを浮かべる千鳥・大悟

このエピソードは、公認会計士であり税理士でもある星野光樹が、プロフェッショナルとしての責任と、芸人仲間への情義の間で直面したユニークな葛藤を浮き彫りにした。税務調査というシリアスな場で起きた、お笑い界ならではの人間模様は、視聴者に笑いと同時に、彼の誠実な人柄を強く印象付けた。

参考文献