暑い夏には冷たいアイスが恋しくなります。多くの方がアイスを単なる嗜好品、あるいは健康に良くないおやつと捉えがちですが、実はその認識は一面的かもしれません。アイスは牛乳を主原料としているため、意外にも豊富な栄養素を含み、私たちの健康維持に役立つ側面も持ち合わせています。しかし、その一方で「原材料」や「作り方」によっては、摂取し続けると体の老化を早めたり、病気のリスクを高めかねない「老けるアイス」も存在します。では、スーパーで手軽に手に入る100円台のアイスの中から、どのようにして健康をサポートする「老けないアイス」を選び出せば良いのでしょうか。
アイスは栄養の宝庫:牛乳由来の恩恵
一見するとただのお菓子に思えるアイスですが、その主原料である牛乳は、私たちの体に多くの恩恵をもたらします。アイスは良質なタンパク質の供給源となるだけでなく、体脂肪になりにくく、認知機能の低下を防ぐともされる中鎖脂肪酸も含まれています。
夏のデザートとして楽しめる、美味しそうなアイスクリームのイメージ画像
さらに、日本人に不足しがちなカルシウムをはじめ、皮膚や粘膜の健康を保つビタミンA、強力な抗酸化作用で「若返りビタミン」とも呼ばれるビタミンE、骨の形成や免疫機能に重要なビタミンDなど、多様なビタミン類を補給できます。カリウム、鉄、マグネシウムといった重要なミネラルも含まれており、これらが総合的に体内の機能をサポートします。
夏の健康と美容をサポートするアイスの多機能性
アイスは、私たちの夏の健康と美容に多方面で活躍する可能性があります。体力を消耗している時の手軽なエネルギー源として、また食欲が落ちやすい忙しい時期や食が細い方の食事の補助としても有効です。特に運動後に摂取すれば、効率的に筋肉の修復を助ける役割も期待できます。
専門家が語るアイスの効能:脱水予防と腸内環境
東邦大学名誉教授で循環器専門医の東丸貴信医師は、「アイスは最高」と述べ、乳製品をしっかり摂取できる点から夏のアイス摂取を推奨しています。血中のタンパク質濃度が高いと体内の水分保持能力が高まるため、脱水予防にも繋がるというのです。
管理栄養士の望月理恵子氏も、この見解を補足します。「牛乳(生乳)よりもアイスのほうが乳脂肪や砂糖などを加えて作られているため、風邪などで体調が優れない時や、夏の暑さで食欲がない時でも、喉ごしが良く効率的に栄養を摂取できます。喉の炎症を抑える効果も期待でき、冷たさがほてった体を冷やしてくれるでしょう。」
また、生乳に含まれる乳糖には、腸内環境を整える働きがある点も注目されます。望月氏によると、乳糖を分解できる人にとっては、腸内細菌の働きによって乳酸や酢酸などの有機酸が生成されます。これらの有機酸には酸化防止作用や抗菌作用があり、腸内の有害な細菌の繁殖を抑える助けとなるのです。ちなみに、乳製品の中でもヨーグルトは、乳酸菌が乳糖の30〜40%をあらかじめ分解してくれるため、乳糖不耐症の方でも比較的腸への負担が少なく、腹部不調を起こしにくいとされています。
要注意!「老けるアイス」と「老けないアイス」の違い
これまでアイスの良い点ばかりを述べてきましたが、実際には商品によってその特性は大きく異なります。体に良い影響を与えるアイスがある一方で、食べ続けることで健康を害し、体の「老化」を促進してしまう可能性のあるアイスも存在します。これは、それぞれの製品の「原材料」と「作り方」が全く異なるためです。料理家で管理栄養士の小山浩子氏も、「100品あれば100種類というほど多種多様」と指摘しています。
小山氏は、「さまざまなアイスがありますが、『老けるアイス』とは、言い換えれば『食べ続けると病気になるアイス』でしょう。数ある商品の中で、そのような老けるアイスは決して少なくありません。だからこそ、しっかりと表示を確認し、『老けないアイス』を選ぶことが非常に重要だと思います。」と警鐘を鳴らします。
結論:賢い選択でアイスを楽しむ
アイスは、単なる夏の楽しみとしてだけでなく、適切に選べば栄養補給や健康維持に貢献する可能性を秘めた食品です。良質なタンパク質、ビタミン、ミネラル、そして腸内環境を整える成分まで、その恩恵は多岐にわたります。しかし、そのすべてが健康に良いわけではなく、原材料や製造方法によっては、摂取しすぎると体の負担となるものも存在します。
大切なのは、商品の表示をしっかりと確認し、添加物や過剰な糖分、質の低い脂質が少ない「老けないアイス」を選ぶことです。専門家の意見を参考に、賢くアイスを選び、夏の暑い日々を健康的で豊かなものにしていきましょう。