中国新車市場7月、日系各社の明暗:日産・トヨタ好調、ホンダ苦戦

2024年7月の中国新車販売市場において、日本の主要自動車メーカーの動向に明暗が分かれました。日産自動車は電気自動車(EV)「N7」の好調に支えられ、販売台数を大幅に伸ばし、回復の兆しを見せています。一方、トヨタ自動車は堅調な伸びを維持したものの、ホンダはEV戦略の遅れが響き、苦戦が続いています。中国市場全体の成長は政府の景気刺激策に牽引され、特に新エネルギー車(NEV)の販売が国内市場の過半数を占めるまでに拡大している状況です。

日産、EV「N7」で販売回復の兆し

日産自動車が発表した7月の中国市場における新車販売台数は、前年同月比21.8%増の5万7359台に達しました。これは2カ月連続での前年実績超えとなり、前月の1.9%増から伸び幅を大きく拡大させています。特に、今年4月に投入されたセダンタイプのEV「N7」の販売が好調を維持しており、販売回復の牽引役となっています。中国市場での競争が激化する中、EVラインアップの強化が販売実績に直結していることが浮き彫りになりました。

日産自動車のロゴマーク。中国市場での新車販売好調を象徴する。日産自動車のロゴマーク。中国市場での新車販売好調を象徴する。

トヨタは堅調、ホンダは苦戦続く

日系自動車大手3社の7月の中国販売を見ると、トヨタ自動車は前年同月比5.7%増の15万1700台を記録し、6カ月連続で販売台数のプラスを確保しました。多様な車種ラインアップと一部の新型EV投入が安定した販売に寄与しています。

一方で、ホンダは前年同月比14.7%減の4万4817台と大きく落ち込み、1年6カ月連続のマイナスという厳しい状況にあります。日産やトヨタが今年投入した新型EVが市場で好調な滑り出しを見せているのに対し、ホンダはEVのラインアップ拡充が遅れており、これが中国のEVシフトが急速に進む市場での苦戦の主な要因と分析されています。中国の消費者の間でEVへの関心が高まる中、各社のEV戦略が販売実績に与える影響は非常に大きいと言えます。

中国市場全体の動向:新エネルギー車が半数超に

中国自動車工業協会が13日までに発表した7月の新車販売台数(輸出含む)は、前年同月比14.7%増の259万3千台でした。中国政府が景気刺激策として導入した買い替え促進策の効果が継続していることが、市場全体の成長を支えているとみられます。

国内新車販売は12.6%増の201万8千台となり、このうちEVやプラグインハイブリッド車(PHV)などからなる「新エネルギー車(NEV)」は、16.9%増の103万7千台と大幅に伸長しました。これにより、国内販売に占めるNEVの割合は初めて51.4%に達し、中国市場におけるNEVの普及が加速していることを明確に示しています。また、輸出も22.6%増の57万5千台と高い伸びを維持しており、中国の自動車産業が国内外でその存在感を高めていることが分かります。

まとめ

7月の中国新車市場は、政府の景気刺激策と新エネルギー車への移行が牽引し、全体として堅調な成長を見せました。日系メーカーの中では、日産が新型EV「N7」の成功で販売を回復させ、トヨタも安定した実績を維持しています。しかし、ホンダはEVモデルの多様化の遅れが販売の落ち込みに直結しており、中国市場におけるEV戦略の重要性が改めて浮き彫りになりました。今後、日系各社がこの巨大市場で競争力を維持するためには、現地のニーズに合致したEVラインアップの迅速な拡充が喫緊の課題となるでしょう。


参考文献:

  • 各自動車メーカー発表資料(日産自動車、トヨタ自動車、ホンダ)
  • 中国自動車工業協会発表データ