NHK連続テレビ小説「あんぱん」の第100話で、童謡「手のひらを太陽に」の誕生秘話が描かれ、その作詞者が多くの人に知られる漫画家・やなせたかしさんであったことが改めて注目を集めています。この放送をきっかけに、やなせさんの多岐にわたる才能と、国民的アニメ「それいけ!アンパンマン」の数々の名曲に彼が深く関わっていた事実が再認識されています。
朝ドラ「あんぱん」で描かれた童謡誕生秘話
15日に放送された朝ドラ「あんぱん」第100話では、主人公・嵩(北村匠海)が作曲家や演出家から作詞の才能を評価されながらも、漫画家としての道を貫こうとします。しかし、停電した家の中で懐中電灯の光に照らされた自身の「手のひら」を見て、「手のひらをすかしてみれば 真っ赤に流れる僕の血潮」とつぶやく印象的なシーンで物語は幕を閉じました。
この一節は、やなせたかしさんが作詞し、いずみたくが作曲した名曲「手のひらを太陽に」の一部であり、放送後、インターネット上では「やなせたかしさんが作詞だったと初めて知った」という驚きの声が多数寄せられました。このエピソードは、童謡が生まれた瞬間を鮮やかに描き出し、その背景にあるやなせさんの普遍的なメッセージを浮き彫りにしました。
多彩な才能、やなせたかし氏が手がけた数々の名曲
童謡「手のひらを太陽に」やアンパンマンの歌を作詞した漫画家やなせたかし氏
やなせさんは、漫画家としてだけでなく、詩人、絵本作家としても幅広く活躍しました。特に注目すべきは、彼が「それいけ!アンパンマン」関連のほとんどの楽曲の作詞を手がけているという事実です。
「アンパンマンのマーチ」は言うまでもなく、「勇気りんりん」「アンパンマンたいそう」「サンサンたいそう」といった、現代の子どもたちに親しまれている曲も全てやなせさんの作詞によるものです。さらに、アニメの劇中歌として登場する各キャラクターのテーマ曲も例外ではありません。アンパンマンの宿敵であるばいきんまんの「いくぞ!ばいきんまん」から、仲間であるカレーパンマンの「とべ!カレーパンマン」、しょくぱんまんの「おなじみしょくぱんまん」も、彼が言葉を紡ぎました。他にも、「生きてるパンをつくろう」「ホラーマンメチャクチャ」「ドキン ドキン ドキンちゃん」など、アニメを見た人ならすぐに思い出すような多くの楽曲も、やなせさんの手によって生み出されています。
今回の朝ドラの放送を機に、これらの歌詞に改めて着目しながら劇中歌を聞き直してみると、新たな発見があるかもしれません。やなせさんの言葉の力は、時代を超えて多くの人々に勇気と希望を与え続けています。
まとめ
やなせたかしさんは、童謡「手のひらを太陽に」の作詞者であるだけでなく、「それいけ!アンパンマン」の膨大な数の楽曲においても作詞者としての顔を持つ、まさに「言葉の魔術師」でした。彼の作品は、子どもたちの心に響くだけでなく、大人にも深く考えさせる普遍的なテーマを内包しています。朝ドラ「あんぱん」を通して、改めて彼の多大な功績に光が当てられ、そのメッセージが広く共有されることを期待します。