台風19号による豪雨被害で休止していた栃木県栃木市の中心部を流れる巴波(うずま)川の遊覧船が今月に入り、約2カ月ぶりに運行を再開した。再開後最初の日曜日には約80人が乗船するなど、例年の12月としては倍以上の客足に。12日で台風19号の被災から2カ月を迎えるが、運行するNPO法人「蔵の街遊覧船」の船頭マネジャー、中村明雄さん(61)は「復興を願った多くの人が来てくれた。われわれが栃木市の先駆けとなって希望を与えたい」と力を込めた。
同遊覧船は、江戸時代、水運で栄えた街の魅力を伝えようと、住民有志を中心に約13年前に始まった。船頭が地域にまつわる話や船頭唄を披露しながら、周辺の蔵の街並みを案内している。スタート時は年間乗客数が2千人だったが昨年度は4万人にものぼり、市の観光の目玉になっている。
しかし今年10月の台風19号の影響で土砂が積もり、航路に約50メートルの中州ができたため、運行を休止。秋の行楽シーズンは毎年1万人が訪れることもあり、大きな痛手となった。11月から船頭らが土砂を手作業で取り除くなどし、県の協力も得て、復旧作業が終了。今月5日、ようやく再開にこぎ着けた。
初日から40人の乗客があり、再開を知った人たちが連日訪れている。同県真岡市から訪れた早川賢一さん(72)は「横浜から親戚が来たので栃木の良い所を見せたいと思い来てみた。すばらしい景色で良かった」と、台風前と変わらぬ小江戸情緒を楽しんでいた。
運行時間は12~2月が午前10時~午後3時。3~11月は午前10時~午後4時。休日は年末年始と荒天時で年内の営業は27日まで、年始は1月5日から。問い合わせは「蔵の街遊覧船」(0282・23・2003)。