元ミス・ユニバース露代表、ヘラジカ衝突事故で30歳で死去:悲劇の経緯と夫の悲痛な訴え

2017年のミス・ユニバース世界大会でロシア代表として活躍したクセーニヤ・アレクサンドロワさんが、ヘラジカ衝突事故による重傷が原因で8月12日に30歳で亡くなりました。この悲劇的なニュースは、彼女を惜しむ人々に大きな衝撃を与えています。夫は事故の詳細と妻への思いをロシアのRIAノーボスチ通信に語り、悲しみを滲ませながら事故防止への切なる願いを訴えました。

悲劇的な事故の発生と詳細

事故は7月5日、ロシアのトヴェリ州ルジェフを走るM9高速道路で発生しました。アレクサンドロワさんは夫が運転する車の助手席に乗っていました。夫の証言によると、現場は道路工事中で速度を落として走行していましたが、高い場所で野生動物の侵入を防ぐ柵が設置されていなかったといいます。

予期せぬ瞬間に、一頭のヘラジカが突然道路に飛び出してきました。夫は「どこからかヘラジカが飛び出してきて、車の前に現れました。飛び出してから衝突までほんの一瞬で、何もできませんでした」と当時の状況を振り返っています。衝突の際、エアバッグは作動せず、ヘラジカはフロントガラスを突き破って直接アレクサンドロワさんの頭部にぶつかりました。夫は「ヘラジカが車内に飛び込み(アレクサンドロワさんの)頭にぶつかりました。彼女は意識を失い、頭部を負傷して、すべてが血に覆われていました」と、その凄惨な状況を語っています。

2017年ミス・ユニバース世界大会に出場したロシア代表クセーニヤ・アレクサンドロワさん。ヘラジカ衝突事故で悲劇的な最期を遂げた2017年ミス・ユニバース世界大会に出場したロシア代表クセーニヤ・アレクサンドロワさん。ヘラジカ衝突事故で悲劇的な最期を遂げた

懸命な治療も実らず

衝突により、アレクサンドロワさんは頭部に肉眼でも見えるほどの深い傷を負い、脳に深刻な損傷を被って昏睡状態に陥りました。病院での懸命な治療が続く中、夫は妻の状態について希望と絶望を繰り返す日々を過ごしました。

「最初は深い昏睡状態で、その後に意識がもうろうとした状態になり、ある日突然、完全に意識を取り戻しました」と夫は語ります。一時的に意識がはっきりした際には、人工呼吸器をつけていたため話すことはできませんでしたが、夫は妻が意識を取り戻したことに安堵したといいます。しかし、その希望も束の間で、アレクサンドロワさんは再び昏睡状態に逆戻りし、健康状態は急速に悪化の一途を辿りました。夫は「一度は心臓を蘇生できましたが、翌日クセーニヤは亡くなりました。再び心臓を動かすことはできませんでした」と、最愛の妻を失った悲しみを深く語りました。

短い生涯と残されたメッセージ

アレクサンドロワさんと夫は、事故が発生するわずか4ヶ月前の3月に結婚したばかりでした。彼女は4月2日の自身のInstagram投稿で、結婚式について「愛と喜びに満ちた一瞬一瞬を覚えています。式がこんなにも自分の心に響くものになるとは思ってもいなかった」と綴っており、新婚生活の幸福感が伝わってきます。また、2022年の投稿では、前年に心理学の学位を取得し、セラピストとしての新たなキャリアをスタートさせたことも報告していました。彼女の未来は希望に満ちていたはずでした。

夫は、今回の事故が起きたM9高速道路の現場では、動物との衝突事故が頻繁に発生していると指摘しています。彼は妻の死が決して無駄になることなく、このような悲劇を未然に防ぐための具体的な対策につながることを切に願っています。「クセーニヤの死を無駄にせず、この残酷な状況がなんとかしてなくなることを願っています」という夫の言葉は、道路の安全性向上と野生動物との共存という、社会全体で取り組むべき課題を私たちに投げかけています。

出典

  • Yahoo!ニュース (ハフポスト日本版)