NISA投資、米国偏重リスクを避ける「除く米国」インデックス投信の選び方と注目4選

NISA(少額投資非課税制度)における投資先として、S&P500連動型などの米国株インデックス投資信託や「オルカン」(全世界株式型ファンド)は圧倒的な人気を誇ります。しかし、その多くが米国資産に偏重している現状に対し、米国経済の先行き不透明感や円高ドル安の進行が、新たなリスクとして意識され始めています。本稿では、米国への過度な集中を避け、手軽にポートフォリオの分散を図るための選択肢として、「除く米国」型のインデックス投資信託に焦点を当て、その具体的な活用法と主要商品の比較を通じて、NISAにおける新たな投資戦略を提案します。

米国株偏重のリスクと分散投資の必要性

現在、NISAで人気の投資信託の多くは、その構成比率において米国資産が6〜7割を占めるなど、米国市場への依存度が高い傾向にあります。これは、これまで米国経済が高い成長を続けてきたためですが、近年その先行きに不透明感が増しています。特に、トランプ元大統領の発言や政策による株価の乱高下、あるいは長期的な経済成長力の低下を懸念する声も聞かれます。

さらに、円高ドル安の進行は、円換算でのリターンに大きな影響を与えています。2025年の年初来のデータを見ると、米国株自体の伸びはあっても、円高によってその恩恵が相殺され、日本株、欧州株、新興国株といった他の地域のほうが円換算での上昇率が高いケースが見られます。このように、投資先が米国に偏っていると、為替変動のリスクや米国固有の政治経済リスクを直接的に受けることになり、安定した資産形成の妨げとなる可能性があります。このため、他の地域への分散投資を検討することが、リスクを軽減し、より堅牢なポートフォリオを構築する上で不可欠です。

「除く米国」インデックス投信とは?その活用メリット

米国への投資比重を下げる手軽な分散投資手段として注目されるのが、「除く米国」タイプのインデックス投資信託です。その名の通り、投資先に米国を含まない形で、世界の株式市場に広く投資できるのが特徴です。これにより、米国市場のリスクを回避しつつ、世界経済全体の成長を取り込むことが可能となります。

「除く米国」インデックス投信は、多様な選択肢があり、NISAの成長投資枠で購入可能です。また、一部のファンドは「つみたて投資枠」にも対応しており、少額からでも継続的な積立投資を通じて、長期的な資産形成を目指すことができます。

主要「除く米国」インデックス投信4本の徹底比較

現在市場には、「除く米国」を投資対象とするインデックス投資信託が複数存在します。それぞれの運用内容と特徴を理解し、自身の投資戦略やリスク許容度に合わせて選択することが重要です。

  • 楽天・VXUS:米国以外の全世界(先進国から新興国まで)に幅広く投資します。つみたて投資枠でも購入可能であり、米国以外のグローバル分散投資を志向する投資家にとって有力な選択肢です。
  • SBI・V・全世界株式(除く米国):楽天・VXUSとほぼ同じ運用内容で、米国を除く全世界市場への投資を目指します。信託報酬も低水準で、コストを抑えたい場合に適しています。
  • SBI・V・先進国株式(除く米国):米国を除く先進国市場の株式に限定して投資を行うファンドです。新興国市場のリスクは避けつつ、先進国の成長力を取り入れたい場合に検討すると良いでしょう。
  • SBI・V・世界小型株式(除く米国):世界の小型株を投資対象とするファンドです。小型株は値動きが大きく高リスクとなる傾向がありますが、その分高いリターンが期待できる可能性もあります。ポートフォリオにアクセントを加え、積極的なリターンを求める投資家向けです。

米国偏重リスクを避けるため投資戦略を見直す個人投資家米国偏重リスクを避けるため投資戦略を見直す個人投資家

これらのファンドは、いずれもNISAの制度を活用して非課税で投資できるため、投資効率を高めることができます。ご自身のポートフォリオにおける米国比率や、分散投資の目標に応じて最適なファンドを選択してください。

結論

NISAで資産形成を進める上で、米国株への投資集中は高いリターンをもたらす一方で、経済状況や為替変動によるリスクを内包しています。「除く米国」型インデックス投資信託は、この米国偏重リスクを効果的に低減し、グローバルな視点での分散投資を可能にする強力なツールです。現在の市場環境と自身の投資目標を考慮し、既存のポートフォリオを見直すことで、より強固で安定した資産形成へと繋げることができるでしょう。

参考文献