2024年8月23日、世界的ロックバンドX JAPANのリーダーYOSHIKI氏と、アニメ『ダンダダン』製作委員会の間で続いていた一連の“騒動”が、ついに和解に至った。この一件は、SNSを通じて大きな注目を集め、エンターテインメント業界における著作権、肖像権、そしてアーティストのSNS運用について多くの議論を巻き起こした。
「紅」オマージュと「HAYASii」名が引き起こした騒動の発端
騒動の発端は、8月8日に放送されたアニメ『ダンダダン』第8話にあった。劇中では、お祓いをテーマにしたメタルバンド「HAYASii」が登場し、「お祓いだー!」と叫びながらX JAPANの代表曲『紅』を彷彿とさせる劇中歌『Hunting Soul』を熱唱した。この楽曲は巧みな編曲が施され、視聴者からは概ね好評を博していた。
しかし、この内容にYOSHIKI氏が自身のX(旧Twitter)で反応。「何これ、XJAPANに聞こえない?」「えー?この件何も知らないんだけど」と投稿し、アニメの描写に対する疑問と困惑を表明した。さらにYOSHIKI氏は、バンド名「HAYASii」が自身の姓「林」を思わせることや、自殺した父親の名前と同じであることを指摘し、「著作権や肖像権は色々な会社が動いているので任せているけど」「みんな、悪気はないのはわかってるけど…心が痛いしなぜか涙が出た」と、心境を吐露する投稿を連発した。これらの投稿は後に全て削除され、「今回の件、全て関係者に任せます」とだけ記された。
ロックバンドX JAPANのリーダー、YOSHIKI氏。アニメ「ダンダダン」との騒動でSNS投稿が物議を醸した際の氏の姿。
YOSHIKIの「寝ぼけツイート」釈明と製作委員会の謝罪
YOSHIKI氏の最初の投稿に対し、アニメファンからは「HAYASii」は「お囃子」に由来するといった反論が寄せられた。これを受け、YOSHIKI氏は自身のインスタライブで「ごめんね、俺の林じゃなかったら。寝ぼけてツイートしちゃったみたい。反省しています」と釈明。さらに「X騒がしてごめん。寝ぼけてやるのやめよう…」と、一連のクレーム投稿が「寝ぼけていた」ためだと説明し、謝罪した。
そして8月22日、『ダンダダン』製作委員会は公式サイトを通じて「今回、YOSHIKI様及びX JAPAN様に対して、事前のご説明に思いが至らなかったことで、ご心配をおかけしてしまったことは本意ではなく、心からお詫び申し上げます」と公式に謝罪文を発表した。これに対し、YOSHIKI氏も「ダンダダン製作委員会の誠実な対応に、心から感謝します」と応答。「プロデューサーさんとのポジティブな会話で、コラボの可能性も含め、素晴らしい未来をファンの皆さんと築いていける気がしています!」と続け、今回の騒動は和解という形で幕を閉じた。
騒動の裏側:ソニーグループ内の問題とSNSの影響
今回の騒動の背景には、楽曲『紅』の著作権がソニーミュージックパブリッシングにあり、『ダンダダン』もソニーグループ傘下のアニプレックスが製作しているという、グループ会社内の複雑な事情があったと見られる。ある芸能担当記者は、「詳細は不明だが、現場レベルでは事前に話が通っていたようだ。まさか曲の権利を持っていないYOSHIKIさんがここまで反応するとは、誰も予測できなかっただろう」と指摘する。YOSHIKI氏が騒動の最初に「弁護士から連絡があった」と述べていた件についても、いずれにせよ内々で解決できる話であったはずだという。
この記者は、YOSHIKI氏が勢いのままにSNSに書き込んだことが、騒動がこれほどまでに“炎上”した主な要因だと分析している。SNSの拡散力によって、本来は内部で収まるはずだった問題が公になり、多くの人々の関心を引く結果となった。
繰り返される炎上:YOSHIKIの「かまってちゃん」行動とファンからの懸念
今回の和解を「ポジティブな終わり方」と喜ぶYOSHIKIファンがいる一方で、X上ではYOSHIKI氏に対するネガティブな反応も少なくなかった。「ダンダダンファン的に今回の件もありコラボは要らないです……そっとしといて」「犬笛吹いてファンに攻撃させて、メンヘラムーブした挙句にコラボとか言い出したよ」「初めから水面下でできなかったの?散々巻き込んでファンを嫌だなこういうやり方嫌です」といった厳しい意見が噴出した。
最近、YOSHIKI氏のXへの書き込みが物議を醸す頻度が高いことについても、前述の芸能担当記者は言及している。「自身の首の症状の悪化により引退をほのめかしたり、“かまってちゃん”の書き込みが目立っています。そもそも気難しい“お騒がせキャラ”は昔から。一部のファンにはよく知られていましたが、SNSの影響でさらに広く知られるようになってしまいました」と分析。古くからのファンからも「本人がポストするのはやめたほうがいい」という意見が出ており、「デジタルデトックスとして、Xでの告知はスタッフに任せてみるのもいいかもしれません」と提言している。
結論
YOSHIKI氏とアニメ『ダンダダン』製作委員会間の騒動は、双方の公式謝罪と和解という形で終結した。この一件は、SNSが情報伝達の強力なツールである一方で、不用意な発言が予期せぬ“炎上”を引き起こすリスクを改めて浮き彫りにした。YOSHIKI氏が音楽界のレジェンドであることは疑いようがないが、今後、SNSとの付き合い方を見直し、その卓越した音楽活動で注目を集めることを多くのファンが願っている。
参考文献
- YOSHIKI「まさかのコラボも」アニメ『ダンダダン』騒動が“和解”へも「メンヘラムーブ」「勘弁して」とファンから噴出する不満 – Yahoo!ニュース / FLASH (8月24日公開)