ドナルド・トランプ米大統領が25日にホワイトハウスで韓国の李在明(イ・ジェミョン)大統領と会談した際、故安倍晋三元首相に言及する場面があり、日韓関係の複雑な現状についても見解を表明しました。この会談は、北東アジアの安全保障と二国間関係における重要な対話の一部として注目されています。トランプ氏の発言は、日米韓三カ国の協力体制を巡る議論に新たな側面をもたらしています。
トランプ氏、安倍元首相を「偉大な人物」と評価
トランプ大統領は、親交の深かった安倍晋三元首相について「偉大な人物であり、素晴らしい友人だった」と深く振り返り、その功績と個人的な関係性を称賛しました。さらに、「彼は韓国に対し、とても温かい感情を持っていた。現首相である石破茂氏も同じ感情を持っている」と述べ、安倍氏の外交姿勢と現政権の対韓感情に共通点があることを示唆しました。この発言は、日韓関係改善に向けた日本の意欲を改めて強調するものとして、韓国の聯合ニュースなどが報じています。
2019年G20大阪サミットで握手するトランプ米大統領と安倍晋三首相(当時)
「日本は前に進みたがっているが…」日韓関係の複雑性
トランプ氏は、日韓関係の現状についても言及し、「日本は韓国と仲良くしたいと思っており、素晴らしい国民で、立派な国だと思う」と、日本の国民性と国家としての評価を述べました。その上で、日韓関係の改善が困難である主な理由として、韓国が「慰安婦問題に非常に執着」している点を指摘しました。トランプ氏は、「日本は前に進みたがっている。しかし、韓国はその問題に非常に執着した」と述べ、歴史問題が両国関係の進展を阻んでいるとの見方を示しました。聯合ニュースは、一連のトランプ氏の発言が、慰安婦問題の解決に消極的だったとされる日本の姿勢を問題視するものではなかったと報じています。
令和元年5月、炉端焼き店で夕食を楽しむトランプ米大統領と安倍晋三首相(当時)
李在明大統領、日米韓協力の重視と関係改善への意欲
一方、李在明大統領は、日米韓の協力関係を重視する姿勢を明確に示しました。李大統領は、「(トランプ)大統領が韓米日の協力を非常に重視しているので、私が大統領に会う前にあらかじめ日本に行って、大統領が心配するような問題を整理してきたと考えていただければよい」と述べ、トランプ氏との会談前に日本を訪問し、日韓関係の懸案事項について調整を行ってきたことを示唆しました。さらに、23日に石破首相と会談した際には、「われわれが抱えていた多くの障害要素が取り除かれたという気がした」と述べ、日韓間の関係改善に向けた具体的な進展があったことを強調しました。この発言は、中央日報によって報じられています。
まとめ
トランプ米大統領の李在明大統領との会談は、故安倍晋三元首相への敬意表明とともに、日韓関係の歴史認識問題が依然としてデリケートな課題であることを浮き彫りにしました。李在明大統領は、日米韓の協力関係を強化し、日韓間の障害を取り除くことに意欲を示しており、今後の北東アジアにおける外交関係の動向が注目されます。
参考文献
- 聯合ニュース
- 中央日報