名古屋アリーナ、2028年初頭開業へ:三井不動産・豊田通商・KDDIが新多目的施設を着工

2028年初頭、愛知県名古屋市に新たなランドマークとなる大規模多目的アリーナ「(仮称)名古屋アリーナ」が誕生します。三井不動産、豊田通商、KDDIの3社が2024年8月27日に建設工事に着手し、2027年秋の竣工、そして2028年初頭の開業を目指すことが発表されました。この収容客数1万人規模のアリーナは、名古屋のスポーツ・エンターテインメントの中心地となるだけでなく、地域経済の活性化にも大きく貢献することが期待されています。

名古屋に建設される多目的アリーナ「(仮称)名古屋アリーナ」の完成予想図。1万人規模の収容能力を持つ。名古屋に建設される多目的アリーナ「(仮称)名古屋アリーナ」の完成予想図。1万人規模の収容能力を持つ。

「みなとアクルス」エリアの新たな核:スポーツとエンタメの融合

「名古屋アリーナ」は、名古屋市営地下鉄名港線「港区役所」駅から徒歩約8分の、名古屋市港区金川町101番1に位置します。この場所は、商業施設、スポーツ施設、住宅など多様な都市機能が集積する「みなとアクルス」エリアの中心部に当たります。既存の「ららぽーと名古屋みなとアクルス」や多目的ホールの「COMTEC PORTBASE」と連携し、みなとアクルス全体でスポーツやエンターテインメントが織りなす「リアルの体験価値」を最大化する街づくりが推進されます。アリーナでの「非日常」的な感動体験と、隣接する商業施設での食事や買い物といった「日常」が融合することで、来場者にとってこれまでにない魅力的な空間が提供される予定です。

Bリーグ「ファイティングイーグルス名古屋」のホームアリーナとしての役割

この新アリーナは、プロバスケットボールB1リーグに所属する「ファイティングイーグルス名古屋(FE名古屋)」のホームアリーナとして、2027-28シーズンから利用開始されます。FE名古屋を保有する豊田通商にとって、このアリーナの活用は、トップリーグである「B.LEAGUE PREMIER」への早期参入を目指す上で非常に重要なステップと位置づけられています。アリーナの建設は、チームのブランド力向上とファンベースの拡大に大きく貢献すると期待されています。

通信技術で新たな価値創造:KDDIの参画とスマート・ベニューの進化

KDDIは、この「名古屋アリーナ」プロジェクトに通信技術を軸として参画します。アリーナを起点としたパートナーとの連携により、革新的なサービスや体験を創出し、新たな価値共創を目指します。近年、通信事業者がアリーナ運営に深く関与する「スマート・ベニュー」事業は、デジタル技術を活用した観客体験の向上や施設運営の効率化を図る上で注目されています。NTTドコモが「IGアリーナ(愛知国際アリーナ)」や「国立競技場」の運営に携わっていることからも、この分野における通信会社の役割の重要性が伺えます。

ららぽーと名古屋みなとアクルスと一体開発される「名古屋アリーナ」を含むみなとアクルス地区の鳥瞰図。ららぽーと名古屋みなとアクルスと一体開発される「名古屋アリーナ」を含むみなとアクルス地区の鳥瞰図。

「名古屋アリーナ」の概要と三井不動産の複合開発戦略

「名古屋アリーナ」の敷地面積は約20,500m2(約6,200坪)、構造は鉄骨造の地上4階建で、延床面積は約27,500m2(約8,300坪)に及びます。収容人数は約10,000人で、設計・施工は大林組が手掛けます。三井不動産は、スポーツ施設と商業施設の連携を積極的に推進しており、2024年5月に開業した「LaLa arena TOKYO-BAY」(千葉県船橋市)でも、「三井ショッピングパーク ららぽーと TOKYO-BAY」や「三井ショッピングパーク ららテラス TOKYO-BAY」と一体となった企画を展開しています。ららぽーと内にスポーツ施設を設置するなど、スポーツ・エンターテインメントの要素を盛り込んだ複合的な街づくりは、同社の得意とする戦略の一つです。

結論

「(仮称)名古屋アリーナ」の着工は、名古屋市の都市機能向上、地域経済の活性化、そしてスポーツ・エンターテインメント文化の発展にとって画期的な一歩となります。三井不動産の複合開発ノウハウ、豊田通商のスポーツ振興への情熱、KDDIの最先端通信技術が融合することで、このアリーナは単なる施設に留まらず、来場者に忘れられない体験を提供する未来志向の空間となるでしょう。2028年初頭の開業が今から待ち望まれます。

参考文献