パチンコ運営会社幹部ら、自民党候補への選挙買収容疑で逮捕 —「平成以降最大規模」の広がりか

7月の参議院議員選挙において、自民党から比例代表で立候補した阿部恭久氏への投票を従業員250人以上に働きかけ、その見返りとして現金を渡すと約束したとして、パチンコ店運営会社「デルパラ」の社長を含む同社幹部6人が、公職選挙法違反(買収約束)の疑いで8月26日に逮捕されました。この事件は、政治と業界の癒着を示すものとして、社会に大きな波紋を広げています。

自民党から参院選に出馬し、選挙買収疑惑が報じられた阿部恭久氏自民党から参院選に出馬し、選挙買収疑惑が報じられた阿部恭久氏

「平成以降最大規模」の選挙買収疑惑が浮上

捜査関係者によると、容疑者らは7月初旬から中頃にかけ、全国に展開するデルパラのパチンコ店従業員やアルバイトに対し、阿部氏への投票の引き換えに3000円から4000円を支払うことを約束していました。投票の事実確認のため、従業員にスマートフォンで投票用紙を撮影させ、その画像を確認できた者には「残業代」の名目で報酬を支払う手口だったとされています。幹部6人は、全国31店舗の各店長に対し、この買収を指示していた疑いが持たれています。

この買収約束の対象者が250人以上にのぼることが判明しており、捜査本部は今回の事件を「平成以降で最大規模」の買収と見て、捜査を進めています。これは、単なる個人の不正行為に留まらず、組織的な選挙買収の実態が露呈した形であり、パチンコ業界と政治の根深い「癒着」を強く示唆するものです。

パチンコ業界の「顔」阿部恭久氏と政治の癒着

今回の事件の中心人物である阿部恭久氏は、成蹊大学卒業後、パチンコ店やボウリング場などを展開するサンキョー株式会社に入社し、2001年には代表取締役社長に就任。さらに、2014年には全日本遊技事業協同組合連合会の理事長、2022年からは全日本遊技産業政治連盟の会長を務めるなど、まさに“パチンコ界の顔”として知られる人物です。

今回の参院選出馬も、各地で閉店や倒産が相次ぎ、厳しい状況に立たされているパチンコ業界を代表しての挑戦でした。しかし、その背景に大規模な選挙買収疑惑があったことで、業界団体が政治に影響力を行使しようとする過程での不正行為として、社会的な批判の声が噴出しています。これは、国民の政治不信を一層深めることにも繋がります。

落選と世論の厳しい目、自民党への波及

結果的に、阿部氏は約8万8000票を獲得したものの、議席獲得には至らず落選しました。自身の公式サイトでは、「皆様から力強いご支援を賜りましたが、私の力不足により、議席を獲得するには至りませんでした」「その想いにお応えすることができず、誠に申し訳なく、深くお詫び申し上げる次第でございます」と、支援への感謝と落選の遺憾の意が表明されています。

しかし、この買収疑惑が明るみに出たことで、世間からは「イカサマしたのに落選ってダサすぎるだろ」「ここまでして落選って……恥ずかしくないのかな」といった呆れ声や、SNS上では「落選しても公職選挙法違反は免れないからね」「また自民党がやらかしてる」など、厳しい意見が殺到しています。

今回の逮捕は、買収を直接指示したとみられるデルパラの幹部6人であり、阿部氏本人からの指示があったかは現時点では明らかではありません。しかし、うやむやになったままの裏金議員問題や、参院選中の鶴保議員による能登に関する不適切発言など、立て続けに不祥事が発覚している自民党に対し、「さあ、自民党はどう対応するのかな?」といった疑問と批判の声が向けられています。

国民の政治に対する失望をこれ以上広げないためにも、自民党には今回の事件に対し、迅速かつ適切な対応が求められます。

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