トランプ氏、ソロス親子を「暴力的な抗議活動の黒幕」と非難しRICO法での起訴を要求

【ワシントンDC発、日本ニュース24時間】ドナルド・トランプ元米大統領は27日、著名な投資家であり慈善活動家であるジョージ・ソロス氏(95)とその息子アレックス氏に対し、全米で発生している「暴力的な抗議活動」の黒幕であると根拠のない主張を繰り返し、連邦法(RICO法:威力脅迫および腐敗組織に関する連邦法)に基づく起訴を求めました。この発言は、ソロス一族が長年にわたり右派勢力の標的とされてきた陰謀論を再び加熱させるものです。

右派の標的とされてきたジョージ・ソロス氏(左)とドナルド・トランプ元米大統領(右)。トランプ氏はソロス氏らを暴力的な抗議活動の黒幕と非難した。右派の標的とされてきたジョージ・ソロス氏(左)とドナルド・トランプ元米大統領(右)。トランプ氏はソロス氏らを暴力的な抗議活動の黒幕と非難した。

トランプ氏の非難と「トゥルース・ソーシャル」での投稿

トランプ氏は自身のSNS「トゥルース・ソーシャル」にて、「ジョージ・ソロスとその素晴らしい極左の息子は、暴力的な抗議活動への支援など、多くの理由に基づきRICO(威力脅迫および腐敗組織に関する連邦法)で起訴されるべきだ」と強く主張しました。さらに彼は、「ソロスとそのサイコパス集団は、わが国に甚大な被害を与えた! 西海岸の狂った仲間たちもその中に含まれる」「こうした狂人たちが米国をこれ以上引き裂くことを許さない」「気をつけろ、われわれが君たちを監視している!」と投稿し、ソロス一族に対する厳しい警告を発しました。

オープン・ソサエティー財団(OSF)の反論

これに対し、ジョージ・ソロス氏が設立した慈善団体「オープン・ソサエティー財団(OSF)」は、トランプ氏の発言を断固として非難しました。同財団の広報担当者はAFPの取材に対し書面で、「これらの非難は言語道断であり、虚偽だ。オープン・ソサエティー財団は暴力的な抗議活動を支援していなければ、資金提供もしていない」と述べました。また、同財団は「活気ある民主主義の象徴である言論の自由と平和的な抗議の権利」を支持していると強調し、和平的な社会運動への支持を明確にしました。

長年にわたるソロス氏への陰謀論と反ユダヤ主義の指摘

ハンガリー生まれのユダヤ系であるソロス氏は、その進歩主義運動や米民主党への多額の資金援助を理由に、欧米の極右勢力から長年にわたり憎悪の対象となってきました。彼に対しては、欧州や米南部の国境での移民危機を助長した、2020年のジョージ・フロイドさん殺害後の警察の残虐行為に対する大規模な抗議活動を組織した、などといった根拠のない非難が繰り返し行われています。特に、2020年6月にロサンゼルスで不法移民取り締まり強化に抗議するデモが勃発した際には、ソロス一族が支援する非営利団体が、警官隊に投げつけるためのレンガを戦略的に配置したとされる画像がオンラインで拡散しましたが、AFPを含むファクトチェッカーによって、これらの画像が誤りであることが明らかにされています。ソロス氏に対するこれらの長年にわたる攻撃は、しばしば反ユダヤ主義に動機付けられていると指摘されています。

ソロス氏を巡るその他の発言と家族の動向

トランプ氏は以前、2024年にポルノ女優への不倫口止めに絡む事件で自身を起訴した検察官をソロス氏が操っていたとも主張していました。ソロス氏は2023年、オープン・ソサエティー財団の経営権を息子の戦略家アレックス氏に譲ると発表しており、アレックス氏は2024年米大統領選ではトランプ氏の対立候補だった民主党のカマラ・ハリス前副大統領を熱烈に支持するなど、その影響力は拡大しています。一方で、ジョー・バイデン前大統領は今年1月の退任直前、ソロス氏に文民最高の栄誉である「大統領自由勲章」を授与しており、その功績が認められています。

結論

トランプ元大統領によるジョージ・ソロス氏親子への起訴要求は、根拠のない主張に基づいたものであり、ソロス氏を巡る長年の陰謀論と極右勢力の政治的攻撃の一環と見られています。オープン・ソサエティー財団はこれらの非難を強く否定し、平和的な抗議活動への支持を改めて表明しています。この出来事は、米国における政治的二極化と、虚偽情報が社会に与える影響の深刻さを改めて浮き彫りにしています。

参考文献

  • AFPBB News (2025年8月27日). トランプ氏、ソロス親子を「暴力的な抗議活動の黒幕」と非難し起訴要求. Yahoo!ニュース.