読売新聞は8月28日の朝刊1面で謝罪・訂正記事を掲載し、前日の「公設秘書給与不正受給か 維新衆院議員 東京地検捜査」との報道が誤りであったことを認めた。日本維新の会の池下卓衆議院議員ではなく、石井章参議院議員が東京地検特捜部の強制捜査対象だった「取り違え」だ。元読売新聞記者でジャーナリストの大谷昭宏氏が、日本の報道機関における情報収集とチェック体制の課題を分析する。
読売新聞の誤報と謝罪の経緯
読売新聞は8月27日の朝刊で、日本維新の会・池下卓衆議院議員の公設秘書給与不正受給疑惑を報じたが、東京地検特捜部が家宅捜索したのは石井章参議院議員だった。大谷昭宏氏は、石井議員への捜索報道で誤報に気づいたと述べる。池下議員の抗議を受け、読売側は翌朝刊1面で「取材の過程で、池下議員と石井議員を取り違えてしまいました」と訂正・謝罪した。
読売新聞の朝刊一面に掲載された謝罪・訂正記事
誤報の背景と専門家の見解
大谷氏は、他紙の特ダネへの「焦り」が誤報の背景にあったと分析する。毎日新聞は池下議員の秘書問題、朝日新聞は自民党・萩生田光一議員の政策秘書略式起訴を報じており、読売の地検担当が「巻き返しを図ろうとしたのかもしれない」と指摘。
「もちろん誤報はまずい。しかし、何も動かなければスクープを逃し、価値ある紙面は作れない」と大谷氏。一方で、今回は「裏取りのための努力が明らかに足りておらず、Wikipediaの丸写しのような記事を書いてしまった」と厳しく批判。地検幹部との関係構築不足や上司の厳しいチェックの欠如が、主因だと指摘した。
ジャーナリズムの挑戦と責任
今回の読売新聞の誤報は、速報性と正確性の間で葛藤する現代ジャーナリズムの課題を浮き彫りにした。情報過多の時代、真偽を確かめる「裏取り」は極めて重要だ。大谷氏の指摘は、大手メディアであっても、基礎的な情報確認と厳格な内部チェックが不可欠であることを示唆する。メディアが社会の信頼を維持するためには、正確性を最優先し、検証を怠らない姿勢が求められる。