コッペパン専門「吉田パン」創業者、異色の経歴と逆境を乗り越える挑戦

コッペパン専門店「吉田パン」は、1日に3000個以上のコッペパンを売り上げる超人気店です。東京・亀有の本店は、まるで洋菓子店のような洗練された雰囲気。30種類以上の豊富な具材から選んで、その場でサンドしてもらうスタイルが人気を集めています。定番のあんマーガリン(220円)から、オリジナル野菜サンドにハムカツなどを挟んだボリューム満点の一品(500円)まで、幅広いラインナップが特徴です。多くの人が懐かしい給食の味を思い出すコッペパンですが、「吉田パン」のものは、赤ちゃんの腕のようにふっくらとして、学校で食べたものよりも格段に柔らかく、惜しみなくサンドされた具材と相まって豊かな満足感を提供しています。

この人気店を2013年4月に開業し、コッペパン事業だけで年間2.5億円を売り上げる吉田知史氏。しかし、彼のこれまでの半生は、パンとはまったく無縁の異色の経歴に彩られています。25歳でアパレル会社を起業し、その後38歳で広告プロモーション会社を立ち上げるなど、多岐にわたる分野でビジネスを展開してきました。

人気コッペパン専門店「吉田パン」創業者、吉田知史氏の人物像人気コッペパン専門店「吉田パン」創業者、吉田知史氏の人物像

幼少期の情熱と実家の火事:ファッションへの夢と予期せぬ転機

吉田知史氏は1971年、東京・江戸川区小岩で生まれました。幼少期から洋服への並々ならぬ情熱を抱き、小学1年生の頃には、親が買ってきた服ではなく、自分自身で選んだ服を着るほどでした。お年玉の全額を洋服につぎ込むほど、ファッションへのこだわりは筋金入りだったといいます。

当時の小岩は荒れた環境でしたが、吉田氏のファッションデザイナーになるという夢は揺らぐことなく、恵比寿にあるバンタンデザイン研究所へと進学します。そこでは、ファッションを愛する個性豊かな仲間たちと刺激的な日々を過ごし、後に「伝説的な先輩」として語り継がれる人物とも親交を深めました。しかし、順調に見えた彼の人生に、実家の火事という予期せぬ悲劇が訪れ、彼が経営していた服屋も焼失するという大きな転機を迎えることになります。この経験が、その後の彼のキャリアにどのような影響を与えたのかは想像に難くありません。

逆境をバネに:コッペパン事業成功への道のり

実家の火事という困難を乗り越え、アパレルや広告といった異分野での経験を積んだ吉田氏が、なぜ最終的にコッペパン専門店を開業するに至ったのか。パン作りの経験が全くなかった彼が、どのようにして老若男女に愛される「吉田パン」を築き上げたのか。それは、彼の持ち前の起業家精神と、逆境を成長の糧とする強い意志が結実した結果と言えるでしょう。彼のこれまでの多様な経験と、予期せぬ試練が、今日の「吉田パン」の成功へと繋がる独自の道のりを形成しています。

参考文献

  • 東洋経済オンライン「1日に3000個売れる『吉田パン』異色の創業者の半生」 (Yahoo!ニュース掲載記事)