記録的な高値を更新し続ける日経平均株価。その一方で、多くの庶民は物価高騰と生活の苦しさに直面しており、「日本経済が本当に好調なのか」という疑問の声が上がっています。投資市場に流れ込んでいるとされる膨大な資金は、一体どこへ向かっているのでしょうか。今回の記事では、この不可解な日本株高騰の背後にある「四つの深層」のうち、特に懸念される二つの要因、すなわち米国政治情勢と為替レートの動向に焦点を当て、そのメカニズムを深く掘り下げていきます。
高騰する日経平均株価の推移
トランプ氏再来の影:日米貿易交渉と25%関税のリスク
日本の株式市場が欧米の動向に大きく左右される中、最も警戒すべきは、ドナルド・トランプ氏の政治的動向です。経済再生担当相の赤澤亮正氏による日米関税交渉の決着はあったものの、ベッセント財務長官による四半期ごとの状況検証が予定されており、日本が米国との約束を誠実に履行しているか否かが常に監視されます。ファイナンシャルプランナーの深野康彦氏は、「日本が約束を果たせなければ、関税が25%に戻される可能性」を指摘し、特に「米国産米の輸入」と「米国車の販売」の履行状況が焦点となると警鐘を鳴らします。
これらの米国産品は、長年にわたり日本人の嗜好に合わず、国内での需要が伸び悩んできました。あと数ヶ月で需要が劇的に増加するとは考えにくく、仮に米国側が不履行と判断した場合、トランプ氏が再び強硬な関税引き上げに動く、いわゆる「ちゃぶ台返し」の事態が現実味を帯びてきます。次の確定時期が11月ごろと見られていることから、この時期に向けて投資家たちの間で「11月危機説」が現実的なリスクとして注目されています。
日米投融資の規模とその影響:長期的な円安基調の定着か
一連の日米関税交渉において、日本が総額80兆円にも及ぶ巨額をアメリカへ投融資することが決定しました。トランプ氏はこれを自らの「ディール(取引)」の成果とし、「すべてがアメリカ国民のために使われる」と胸を張っていたのは記憶に新しいでしょう。関税の再変更を避けるためにも、日本はこの「送金」の約束を着実に履行していく必要があります。
しかし、この大規模な投融資は、必ずしも日本にとって一方的な不利を意味するものではないと、マネックス証券チーフ・ストラテジストの広木隆氏は分析します。同氏によると、日本だけでなく韓国も3500億ドルを約束させられるなど、日韓合わせて9000億ドルもの資金がアメリカに投じられることになります。これは「アメリカに金を持ってこい」というトランプ氏の主張の表れであり、この巨大な資金の流れは確実にドルの需要を増加させます。結果として、「ちょっとやそっとでは円高にはならない」状況が生まれ、「ドル高円安」の基調が今後しばらく続いていく可能性が高いと見られています。この持続的な円安傾向は、日本企業にとって業績回復を後押しする最も明確な要因となるでしょう。
結論:外部要因に左右される日本株と為替の動向
不可解な日本株の高騰は、単なる国内経済の好調を示すものではなく、むしろトランプ政権の政策動向という政治的リスクと、日米間の大規模な投融資が引き起こす長期的な「ドル高円安」という為替要因に深く関連しています。日米貿易交渉の行方や、11月に向けての関税問題の再燃は、日本株に大きな不確実性をもたらす一方で、円安の定着は輸出企業を中心とした日本企業の業績を支える基盤となり得ます。投資家や企業は、これらの外部要因が複雑に絡み合う状況を注視し、今後の市場変動に備える必要がありそうです。