日本では、20歳以上60歳未満のすべての人に国民年金への加入と保険料の納付義務が課されています。しかし、大学生にとって年金保険料の負担は決して軽視できるものではなく、「年金が高くて払えない」と親に相談するケースも少なくありません。果たして学生も本当に年金保険料を納める必要があるのか、そして過去と比較して保険料はどれほど高くなっているのか。本記事では、学生の年金保険料に関する疑問を解消し、支払いが困難な場合の対処法について詳しく解説します。
学生も国民年金への加入・保険料納付が義務
国民年金は、日本に住む20歳以上60歳未満のすべての人に加入が義務付けられている公的年金制度です。これは職業や収入の有無に関わらず適用されるため、大学生や専門学校生などの学生も例外ではありません。多くの学生は、20歳を迎えると日本年金機構から「国民年金加入のお知らせ」や「国民年金保険料納付書」が送付され、そこで初めて自身にも納付義務があることを認識し、戸惑うことも少なくないでしょう。
国民年金保険料、30年間で約1.5倍に増加
「自分が学生だった頃は、国民年金保険料なんて月1万円程度だったはず…」と考える親世代もいるかもしれません。実際に、その負担額は時代とともに大きく変化しています。例えば、1975年生まれで現在50歳になる方が20歳だった1995年度の国民年金保険料は月額1万1700円でした。これに対し、2025年度の保険料は月額1万7510円と設定されています。この30年間で保険料は約1.5倍にまで引き上げられており、年金制度維持のための措置とはいえ、経済的に自立していない学生にとっては少なからず大きな負担となっています。
年金保険料の通知書を見て困惑する学生。月額負担の増加は大学生にとって大きな課題です。
年金保険料の未納が招く重大なリスク
「今は金銭的に余裕がないから」「学生の間はなんとなく大丈夫だろう」といった理由で年金保険料の納付を怠ることは、将来的に重大な不利益をもたらす可能性があります。国民年金(老齢基礎年金)を将来受け取るためには、保険料を納付した期間や免除された期間などを合算して10年以上の「受給資格期間」が必要です。もし学生時代の2年間を未納のまま放置した場合、その期間は受給資格期間に算入されず、将来受け取れる年金額が減額されるだけでなく、最悪の場合、受給資格期間が10年に満たず年金自体を受け取れなくなる事態も起こり得ます。
さらに、万が一の事態、例えば事故や病気で障害を負ってしまった場合でも、保険料をきちんと納めていなければ「障害年金」を受け取ることができないリスクも生じます。これらのリスクを回避し、将来にわたる安心を確保するためにも、学生時代の年金保険料問題に真剣に向き合うことが重要です。
学生が年金保険料を支払えない場合の対処法
学生が自身で年金保険料を支払うことが困難な場合、大きく分けて二つの主要な解決策が考えられます。
一つは「学生納付特例制度」を利用する方法です。これは、学生本人の所得が一定額以下の場合に、申請によって国民年金保険料の納付が猶予される制度です。猶予された期間は将来の年金額には反映されませんが、受給資格期間には算入されるため、年金を受け取る権利自体は確保されます。納付猶予期間の保険料は、10年以内であれば後から追納することが可能で、追納することで将来の年金額に反映させることができます。
もう一つは、「親が代わりに支払う」方法です。親が子の年金保険料を代理で納付した場合、納付した保険料は親の社会保険料控除の対象となり、所得税や住民税の負担軽減につながるメリットがあります。これは親子の双方にとって有利な選択肢となり得るため、家計の状況を考慮し、検討する価値があります。
どちらの方法を選ぶにしても、未納のまま放置せず、日本年金機構や年金事務所に相談し、適切な手続きを行うことが何よりも大切です。