ロシアのプーチン大統領は、8月31日からの中国訪問を前に中国国営新華社通信の書面インタビューに応じ、第二次世界大戦においてロシアの前身である旧ソ連の赤軍と中国軍が日本に勝利し、これにより戦争が終結したと主張した。また、日本が「ロシアと中国の脅威という架空の口実」の下で軍国主義を復活させつつあると非難する発言も行った。この内容は、露大統領府が31日までに発表した。プーチン大統領の発言は、国際政治において最大のパートナーと位置付ける中国との間で、歴史分野でも共闘する姿勢を改めて示すものとみられる。
プーチン大統領の肖像写真。中国訪問を控え、新華社通信のインタビューに応じた際の真剣な表情。
国際パートナーシップと歴史的共闘の強調
プーチン大統領は31日から中国・天津で開催される中露主導の「上海協力機構(SCO)」首脳会議に出席する予定であり、9月2日には習近平国家主席との会談を行う。さらに3日には、中国が北京で主催する「抗日戦争勝利80年記念行事」に参加する。これら一連の行事において、プーチン大統領は習主席とともに第二次世界大戦での両国の結束を強調するものと予測されている。
第二次大戦におけるソ連と中国の役割
インタビューの中でプーチン大統領は、第二次世界大戦におけるナチズム(ドイツ)と軍国主義(日本)との戦いにおいて、ソ連と中国が極めて重要な役割を果たしたと指摘した。そして、この「困難な経験」が、現代まで続く中露間の友好関係の基礎を築いたと述べた。
大統領はまた、日本に侵攻された中国に対し、ソ連が多大な軍事援助を提供したことを強調した。中国が日本に抗戦したことで、日本によるソ連攻撃が阻止され、ソ連は対独戦に集中することができたとの歴史観を示している。さらに、大戦末期のソ連軍による旧満州(現・中国東北部)への攻撃が、日本に降伏を決断させる決定打となったとも主張した。
歴史の歪曲への非難
プーチン大統領は、中露両国が、欧州や日本による「ナチスや軍国主義の美化」や「歴史の歪曲(わいきょく)」を断固として非難していくとの姿勢を表明した。両国は共通の歴史認識に基づき、これらの動きに反対していく考えを示唆している。
ロシアと中国の国旗が並び立つ様子。両国の歴史的関係と協力関係を象徴している。
歴史認識における視点の相違と未言及の事実
一方で、プーチン大統領の今回の発言では、第二次世界大戦における対日戦で前面に立って戦ったのが、現在の中国政府に連なる共産党軍ではなく蒋介石指揮下の国民党軍であったという歴史的事実には言及されなかった。また、東西冷戦期に中ソ両国が長年にわたり対立していたことなど、歴史の複雑な側面については触れられていない。
結論
プーチン大統領の一連の発言は、中国訪問を機に、ロシアと中国が第二次世界大戦における「対日戦勝国」としての共通の歴史認識を強化し、国際社会における影響力拡大を目指す意図が明確に示された形だ。日本に対する軍国主義復活の非難は、両国が歴史問題を通じて日本を牽制し、戦略的連携を深める姿勢の表れと言えるだろう。
参考文献
- 小野田雄一 (Yahoo!ニュース掲載記事)