政府が2026年度の一般会計予算に関する各省庁からの概算要求を締め切り、その総額が122兆円台半ばに達し、過去最大だった2025年度の要求総額117兆6059億円を大幅に上回る見通しとなりました。この記録的な要求額の背景には、高齢化の進展に伴う年金や医療などの社会保障費の増加、防衛費の拡大、そして国債費の膨張が挙げられます。
岸田首相が指揮を執る政府の2026年度概算要求が過去最大に
過去最大の概算要求、その背景と主要因
今回明らかになった2026年度の政府予算概算要求は、日本の財政状況における新たな課題を浮き彫りにしています。総額が過去最大となる中で、特に社会保障費、防衛費、そして国債費の三つの要素が歳出全体の押し上げに大きく寄与しています。これは、少子高齢化社会の進展、国際情勢の変動、そして金利上昇という複合的な要因が日本経済に与える影響を示しています。
主要省庁の要求と注目点
厚生労働省:社会保障費の増大と診療報酬改定
社会保障費の大半を管轄する厚生労働省からの要求額は、2025年度当初予算比1.4%増の34兆7929億円と最も大規模です。2026年度は2年に一度の診療報酬改定の年であり、日本医師会などからは物価高騰や人件費高騰を反映した改定が強く求められています。政府は、国民医療への影響を考慮しつつ、予算編成の過程でこれらの要請への対応を慎重に検討する方針です。
農林水産省:食料安全保障と気候変動対策への投資
農林水産省は17.1%増の2兆6588億円を要求しました。主な内訳としては、耕作放棄地の集約を担う農地中間管理機構(農地バンク)の機能強化に161億円(約3.7倍増)を充てる計画です。また、猛暑によるコメの不作を防ぐため、気候変動に対応した高温耐性品種への転換支援など、新たに40億円を計上し、食料安全保障の強化を目指します。
国土交通省:インフラ整備と観光立国推進
国土交通省の要求額は19.0%増の7兆812億円で、そのうち公共事業関係費が6兆2820億円を占めています。老朽化が進むインフラの対策や、日本の経済成長戦略の柱である「観光立国」の実現に向けた施策の強化が図られる見込みです。
膨らむ国債費と財政への影響
国の借金の償還や利払いに充てられる国債費は、14.8%増の32兆3865億円となり、これも過去最大の水準に達しました。長期金利の上昇を受け、利払い費は24.0%増の13兆435億円と大幅に増加しています。2026年度の想定金利は、2025年度当初予算の2.0%から0.6ポイント高い年2.6%と設定されており、金利動向が財政に与える影響は今後も注視されます。
その他要求と今後の見通し
予算額を具体的に示さない「事項要求」としては、米国関税の影響を受ける中小企業への金融支援(経済産業省)や、気象衛星「ひまわり」の後継機の整備(気象庁)などが盛り込まれています。今後、財務省が各事業の査定を行い、年末に向けて予算編成作業が進められます。与党が衆参両院で過半数を割り込む現状では、歳出増を求める声が強まる可能性があり、最終的な予算規模は過去最大だった2025年度(115兆1978億円)を超える可能性も指摘されています。
まとめ
2026年度の政府予算概算要求は、122兆円台半ばという過去最大の規模となり、日本の財政運営に新たな局面をもたらしています。社会保障費の増加、防衛力の強化、そして金利上昇による国債費の膨張が主要な要因であり、各省庁からの要求も多岐にわたります。今後の予算編成プロセスでは、財政健全化と国民生活の安定、経済成長のバランスをどのように取っていくかが、政府にとって喫緊の課題となるでしょう。