米トランプ大統領が世界を振り回している。世界各国に対する相互関税の導入に始まり、最近では韓国・李在明大統領との首脳会談で「在韓米軍基地の所有権」を要求するなど、枚挙にいとまがない。
止まるところを知らないトランプ大統領だが、その勢いに唯一水を差せる可能性があるのが、「エプスタイン事件」だ。その可能性について、米国政治に詳しい国際政治アナリストの渡瀬裕哉氏が詳説するーー。
みんかぶプレミアム連載「渡瀬裕哉の常識革命」
「エプスタイン事件」が議会とホワイトハウスの新たな権力闘争の舞台となっている
米国の金融業者ジェフリー・エプスタインらによる未成年者への性的搾取・人身売買疑惑と、それに関わったとされる著名人や権力者との関係を巡る事件が、米国連邦議会とホワイトハウスの新たな権力闘争の舞台となっている。
メディアの多くはトランプ大統領やパム・ボンディ司法長官の発言がMAGAと呼ばれるトランプ政権の支持基盤からの不信を買い、政権支持基盤内の不協和音が存在していることばかり報じている。しかし、同問題を巡る一連の流れはそのような党派内の内ゲバ的な要素というよりは、今後の米国政治を占う上で重要な示唆を与えるものとなっている。
米国連邦議会がトランプ政権に対して主導権を取り戻せるか、つまり「米国の三権分立が正しく機能を取り戻せるか」は米国政治の展開を占う上で重要だ。
共和党も民主党もトランプ大統領の支配下に置かれてしまった
第二次政権下において、トランプ大統領は自らの政治力・資金力を効果的に用いるとともに、共和党・民主党の政治的分断状況を利用し、政権人事・減税法案などにおいて連邦議会議員らを事実上支配下に置くことに成功してきた。
その結果として、共和党議員がホワイトハウスに対抗するかつてのパワフルな連邦議会の在り方は失われてしまった。共和党議員は予備選挙での刺客擁立を恐れて大統領に対するイエスマンの集まりのようになっている。また、民主党議員は左派勢力が力を持ちすぎた結果として健全な討論能力が失われてしまっている。そのため、彼らはトランプ政権に対する反対票を投じ続ける壊れたマシンと化してしまった。そして、三権の一角を占める連邦議会を代表する超党派での気概を見せる機会はすっかり失われてしまっている。