9月1日(月)は、北陸地方でフェーン現象が発生し、記録的な暑さとなるでしょう。これは9月としては異例の高温で、熱中症や農作物の管理には最大限の注意が必要です。この厳しい残暑は2日(火)まで続く恐れがあり、3日(水)には多少和らぐ見込みですが、引き続き警戒が必要です。
フェーン現象と記録的高温を示す北陸地方の天気予報図
フェーン現象が引き起こす記録的高温と対策
9月1日(月)、沿海州から日本海北部へ低気圧が前線を伴って進む影響で、北陸地方には南または南西からの風が吹き込むと予想されています。この風が山を吹き降りる際にフェーン現象を引き起こし、気温が急上昇する見込みです。特に富山と福井では、過去の9月の最高気温記録に迫る、あるいはそれを更新する可能性があります。内陸部では40度に迫る猛暑日となる地点も出るでしょう。
このような極端な高温環境下では、熱中症の危険が非常に高まります。日中の気温が高い時間帯の屋外での運動は極力控え、こまめな水分補給と適切な休憩を心がけてください。また、米や果実などの農作物にとっても、高温障害のリスクが高まるため、農家の方々も厳重な管理が求められます。
9月1日の北陸地方におけるフェーン現象発生時の予想気温分布図
北陸地方における過去9月の高温記録との比較
9月1日(月)の予想最高気温は、富山と福井で38度、金沢と新潟で37度と見込まれています。これらの数値は、北陸4県の県庁所在地の9月における過去の高温記録と比較しても、非常に高い水準です。福井と富山では過去の記録を塗り替えるか、それに匹敵するレベルに達する可能性があり、新潟でも9月として歴代2位か3位、金沢でも歴代5位前後の高温となる可能性があります。
過去には、2020年9月2日~3日にかけて、台風が九州の西から朝鮮半島付近を北上した際に南寄りの風が吹き込み、同様にフェーン現象が発生しました。この時、福井と新潟では9月として観測史上1位、富山でも観測史上2位の記録的な高温が観測されています。今回の状況も、それに匹敵する厳しさとなる恐れがあります。
北陸各県の9月における過去最高気温と今回の予想気温の比較グラフ
猛暑は2日(火)まで継続か、3日(水)以降の天気見通し
9月2日(火)は、日本海から北陸地方を寒冷前線が南下するため、次第に天気は下り坂に向かうでしょう。しかし、この前線の南下が遅れる可能性もあり、その場合は南寄りの風が続き、記録的な高温が継続する恐れがあります。この日の予想最高気温は、富山で37度、福井で36度などと発表されていますが、日照時間によってはさらに上昇する可能性も否定できません。
3日(水)になると、前線が本州の南岸まで南下するため、風向きが北寄りに変わり、ようやく記録的な暑さからは解放される見込みです。とはいえ、平年よりは依然として気温が高く、厳しい残暑には変わりありません。湿度も高く、蒸し暑さを感じるでしょう。引き続き、熱中症への警戒、そして農作物や家畜の管理には十分な注意が必要です。
また、2日(火)から3日(水)にかけては、前線通過のタイミングで局地的に雷を伴った激しい雨が降る恐れがあり、新潟県と石川県では警報級の大雨となる可能性もあります。土砂災害などにも注意・警戒を怠らないでください。さらに、3日(水)以降は熱帯擾乱が本州付近に接近する可能性も指摘されており、今後の気象情報に引き続き注目することが重要です。
9月2日および3日以降の北陸地方の天気概況と気温、降水量の予測図
今回の北陸地方の記録的な高温は、9月としては非常に稀な現象であり、その影響は広範囲にわたると予想されます。熱中症による健康被害や、農業への深刻な打撃を防ぐためにも、常に最新の気象情報を確認し、適切な対策を講じることが肝要です。特に高齢者や小さな子供、屋外で活動する方は、これまで以上に警戒を強化してください。
日本気象協会 北陸支店 和田 玲央奈