ドナルド・トランプ前米大統領が、自身の関税政策の正当性を改めて力強く主張し、連邦控訴裁判所が下した最近の判決に真っ向から異議を唱えました。この司法判断は、彼の在任中の貿易政策を巡る議論に新たな局面をもたらし、最終的には最高裁での審理へと進む可能性が高まっています。国際社会が貿易と司法の動向に注目する中、トランプ氏の発言は再び波紋を広げています。
トランプ氏の主張:「関税が米国を救った」
トランプ前大統領は8月31日(現地時間)、自身のソーシャルメディア「トゥルース・ソーシャル」に投稿し、「関税、そして我々が集めた数兆ドルがなかったなら、米国は完全に破壊されていたし、軍事力も即座に消滅していただろう」と述べ、自身の関税政策が国家を危機から救ったと主張しました。これは、司法による政策の合法性への疑問視に対し、政治的な正当性を強調するものです。
ドナルド・トランプ前米大統領、自身の関税政策の正当性を主張する様子
連邦控訴裁判所の「違法判決」とその背景
これに先立つ8月29日、米連邦巡回控訴裁判所は、トランプ政権が貿易相手国に課した関税の法的根拠として提示した国際緊急経済権限法(IEEPA)について、「関税を賦課する権限までは含まない」として違法判決を下しました。この判決は、7対4の意見で下級審の判断を維持するものでした。今年5月に国際貿易裁判所がIEEPAに基づく関税を無効と判断して以来、控訴審でも同様の結論が示された形です。
司法への批判と政府の現行措置維持の立場
判決直後、トランプ前大統領は裁判所を「政治的に偏向している」と厳しく非難していました。今回の投稿でも、「急進左派の判事たちが7対4で決定したが、民主党出身のある判事が米国を救うために勇敢に反対した」と述べ、「その愛国心と勇気に感謝する」と特定の判事を称賛しました。しかし、関税政策の違法性が指摘されたにもかかわらず、米国政府の立場としては、現行の措置は維持されるとしています。米通商代表部(USTR)のジェミソン・グリア代表はFOXニュースのインタビューで、「すべての関税は依然として有効であり、貿易協定も引き続き履行されている」と強調しました。
最高裁への移行と今後の展望
ドナルド・トランプ前大統領の強い不服表明が予想される中、関税政策を巡るこの法廷闘争は、最終的に連邦最高裁に持ち込まれる見通しです。最高裁での判断は、将来の米国の貿易政策、そして大統領の持つ経済権限の範囲に大きな影響を与える可能性があります。司法、行政府、そして前大統領の間の対立は、米国政治の複雑な構図を浮き彫りにしています。
参考文献: