大阪・関西万博で当初想定されていた会期中の累計一般来場者数2820万人の達成が、事実上困難な状況にあることが31日、明らかになりました。これまでの来場者数は1600万人を超えていますが、閉幕の10月13日まで運営主体の日本国際博覧会協会が設定する1日最大来場者数22万7千人が連日続いたとしても、最終的な想定数には届かない見込みです。一方で、運営収支の黒字化ラインとして設定されている2200万人はクリアできる情勢にあり、経済的な側面での健全性は保たれそうです。
来場者数目標未達の背景と推移
万博は4月13日から10月13日までの184日間開催されています。協会は当初、期間中の一般来場者数を2820万人と想定しており、その達成には1日平均約15万人を超える来場が必要とされていました。
月別の1日来場者数は、開催当初の4月から6月にかけては右肩上がりの8万~12万人台で推移しました。その後一時的に伸び悩んだものの、8月中旬以降は平日でも連日15万人に迫る来場があり、会期終盤に向けての駆け込み需要も期待されています。これまでの1日あたりの一般来場者数が最多を記録したのは、大曲の花火が打ち上げられた6月28日で、18万4990人でした。
大阪・関西万博会場に集まる大勢の来場者、にぎわう様子
最終予測と収支見込み
協会は1日の最大来場者数として22万7千人を見込んでいますが、会期の残り日数全てにおいてこの来場者数が続いたとしても、当初の想定である2820万人には届かない計算です。日本総合研究所は、会期終盤に来場者数が大きく伸びた2005年の愛知万博と同様の推移をたどった場合、最終的な来場者数は2500万人前後になると予測しています。
運営収支については、協会は会場運営費の8割超を入場券収入で賄う計画を立てています。今後、来場者数が順調に推移すれば、収支の黒字化ラインの目安とされる2200万人には到達できる見込みで、財政面での懸念は低減されると予想されます。
協会見解と過去の万博実績
2820万人の来場者数を巡っては、開催当初の来場者数の伸び悩みや、混雑による来場者の快適性低下の懸念から、下方修正すべきとの意見も出ていました。しかし、協会は一貫して「2820万人は目標ではなく、あくまでも想定である」との見解を示しています。
過去の万博の事例では、1970年の大阪万博は1日最大約83万人が来場し、期間中に約6421万人もの来場者数を記録しました。また、2005年の愛知万博では、当初想定の1500万人を大幅に上回る約2205万人が来場し、いずれの万博も成功裏に終わったと評価されています。今回の大阪・関西万博も、来場者目標の達成は困難であるものの、収支の健全性を保ちつつ、無事に閉幕を迎えられるかが注目されます。
参考文献:
- Yahoo!ニュース (2025年8月31日). 大阪・関西万博、来場者目標2820万人達成が困難に 収支黒字化は視野. https://news.yahoo.co.jp/articles/aefcfc04f2528f363afadc550ea7453588f005ea