【ワシントン=塩原永久】米労働省が5日発表した5月の雇用統計(速報、季節調整済み)は、失業率が13・3%となり、4月に記録した戦後最悪の14・7%に迫る歴史的な悪化水準が続いた。新型コロナウイルスの感染拡大を防ぐ営業規制が、経済活動を停滞させたことによる雇用への打撃が浮き彫りになった。
一方、景気動向を敏感に反映する非農業部門の就業者数は、前月から250万9千人増と3カ月ぶりに増加に転じた。4月は2068万7千人の減少だったが、全米で段階的に経済活動が再開されていることを反映し、雇用悪化が底入れした可能性がある。就業者数は建設業で46万4千人、小売りで36万7千人増加した。
5月の失業率の市場予想は20%前後で、就業者数は800万人程度の減少が見込まれていた。失業率は金融危機「リーマン・ショック」後の2009年10月に10・0%を記録したが、今年4~5月は、これを上回った。1929年から約10年続いた世界恐慌期の33年には24・9%まで上昇したと労働省が推計している。
働く意欲がある人の多さを示す労働参加率は60・8%と0・6ポイント改善。フルタイムでの勤務を希望しながらパートの仕事しか見つからない人の数は減少した。
5日のニューヨーク株式市場のダウ工業株30種平均は、想定外の雇用統計が好感され前日からの上げ幅が一時1千ドルを超え、約3カ月ぶりに節目の2万7000ドルを回復した。