京成電鉄は、成田空港と東京スカイツリーを結ぶ新型有料特急を2028年度にも導入する計画を発表しました。この直通運転により、現在と比較して所要時間が10分前後短縮され、約30分台で両地域間の移動が可能となる見込みです。これは、成田空港の機能拡張に伴うインバウンド(訪日外国人客)を中心とした輸送需要の高まりに対応するための戦略的な投資です。
新型特急導入の背景と目的
成田空港は、2028年度末までに滑走路の新設・延伸を計画しており、これにより航空旅客数は現在の年間4千万人から7500万人へと大幅に増加すると想定されています。この巨大な輸送需要の増加に対し、京成電鉄は主要な鉄道路線事業者として、より高効率で利便性の高いアクセス手段を提供する必要に迫られています。新型特急の導入は、この需要に応え、利用客の利便性向上とアクセス強化を目的としています。
京成電鉄が2028年度に導入予定の新型有料特急車両のイメージ。成田空港と東京スカイツリーを直結し、利便性を高めるデザインが特徴。
天野社長が語る「大規模投資」
京成電鉄の天野貴夫社長は共同通信のインタビューで、成田空港の機能拡張を見据え、「大きな投資、設備改良が必要になってくる」と述べ、その重要性を強調しました。新型特急の導入にかかる費用は、およそ400億円規模となる見込みです。この大規模な投資は、将来的な旅客数増加に対応し、東京圏と成田空港を結ぶ交通インフラの競争力強化に不可欠であると考えられています。
京成電鉄の天野貴夫社長がインタビューに応じる様子。成田空港の機能拡張に対応する大規模投資の必要性について言及。
現行アクセスと比較と「スカイライナー」の重要性
現在の成田空港駅から東京スカイツリーの最寄り駅である押上駅までは、有料特急「スカイライナー」と在来線を乗り継ぐ必要があり、最速でも約45分程度の所要時間がかかっています。新型特急が導入されれば、直通運転により乗り換えの手間が省け、大幅な時間短縮が実現します。スカイライナーは現在、成田空港への主要アクセス手段として年間約840万人の利用者を抱え、その役割は非常に大きいですが、新型特急はさらなる利便性向上に貢献することでしょう。
京成電鉄の新型有料特急が都市部を走行する運行イメージ。成田空港から都心へのアクセス時間短縮を示す。
まとめ
京成電鉄の新型有料特急導入計画は、成田空港の拡張とそれに伴う訪日客の増加に対応するための重要な一歩です。この大規模な交通インフラ投資は、成田空港と東京スカイツリー間のアクセスを飛躍的に改善し、日本の国際観光競争力強化に大きく貢献することが期待されます。