夏の車内を快適に!オートエアコン最適設定と猛暑対策の全知識

35℃を超える猛暑日が続く日本の夏。人間だけでなく、駐車中のクルマもまた、その過酷な暑さに悲鳴を上げています。特に、炎天下に長時間停めた後の車内は温室状態となり、どうすれば車内を素早く快適な温度に戻せるのか、そして日頃の車内 暑さ対策としてオートエアコンの適切な設定温度は何度なのか、サンシェードは本当に効果があるのかといった疑問が尽きません。本記事では、夏のドライブをより快適かつ安全にするための、最適な車内冷却方法とエアコン設定の秘訣を解説します。

オートエアコンの「最適設定温度」は何度?燃費と快適性の両立

連日猛暑が続く中、多くのドライバーは、車内が暑いと感じるとオートエアコンの設定温度をLOWや18℃、22℃といった極端に低い温度に設定しがちです。また、燃費を気にしてACボタンのオン・オフを頻繁に切り替える方もいますが、これらは必ずしも効率的な使い方とは言えません。

設定温度を18℃のように極端に低くすると、エアコンは常にその温度を目指してフル稼働し続けます。真夏の炎天下では、どんなに冷房をかけても室温が18℃まで下がることはほぼないため、結果的に冷房を強くかけ続けることになり、燃費の悪化を招きます。

一方、現実的な25℃前後に設定した場合、室温が設定温度に近づくまでは強く冷房をかけますが、設定温度に達すると風量を弱めるだけでなく、日射量なども考慮して室温が一定になるよう調整します。さらに、オートエアコンは冷房だけでなく暖房も併用して、送り出す空気の温度を細かく調整するため、設定温度が非現実的だと無駄が生じやすくなります。燃費を意識するなら、最低温度に設定した上で、風量で室内の温度を管理する方が効率的です。

最適な設定温度は個人の体感にもよりますが、数度単位で調整し、快適性と効率のバランスを見つけることが重要です。世界8カ国に開発拠点を持ち、自動車部品を手がけるカルソニックカンセイ(現マレリ)の見解(2017年8月10日広報資料)では、日本車の場合「25度」、欧州車の場合は「22度」が温度設定の中心として推奨されています。ただし、この推奨温度は、ある程度の時間走行して車内が安定した状態での設定と認識するのが適切でしょう。炎天下で長時間駐車した直後に25℃設定では、快適になるまでに時間がかかることは避けられません。

猛暑日の車内で快適なエアコン設定を模索するドライバー猛暑日の車内で快適なエアコン設定を模索するドライバー

炎天下で熱された車内を「素早く冷やす」具体的な方法

炎天下に長時間駐車した後、車内はサウナ状態です。この高温の車内を効率的かつ素早く冷やすには、いくつかの段階を踏むことが効果的です。

  1. 窓を全開にして熱気を排出: まず、運転席の窓を開け、助手席側のドアを数回大きく開閉することで、車内にこもった熱気を素早く外に押し出します。同時に、エアコンは外気導入モードにし、風量を最大にして冷房を全開にします。
  2. 走行しながらの換気: 可能であれば、窓を全開にしたまま少し走行し、走行風によって車内の熱気をさらに効率的に排出します。数分間の走行で、かなりの熱気が抜け、エアコンの効きが格段に良くなります。
  3. 内気循環への切り替えと温度調整: 車内の温度がある程度下がったら窓を閉め、エアコンを内気循環モードに切り替えます。これにより、外の熱い空気が車内に入り込むのを防ぎ、冷えた空気を効率的に循環させることができます。その後、前述の推奨温度(日本車25℃、欧州車22℃)を目安に、快適だと感じる温度に設定を調整しましょう。

サンシェードは本当に「意味がある」のか?効果的な使用法

「サンシェードは意味があるのか?」という疑問を持つ方もいるかもしれませんが、答えは「非常に意味がある」です。サンシェードは、直射日光が車内に入るのを防ぎ、ダッシュボードやシートといった内装部品が熱を吸収して高温になるのを大幅に抑制します。

フロントガラスにサンシェードを設置するだけで、ダッシュボードの表面温度は最大で約50℃も低くなると言われています。これにより、車内全体への熱伝達が軽減され、駐車後の車内温度上昇を抑えることができます。結果として、エアコンの負荷を減らし、素早く快適な温度に到達させる助けとなります。炎天下での駐車時には、サンシェードの使用を習慣化することをお勧めします。

まとめ

日本の厳しい夏を快適に乗り切るために、車の猛暑対策は不可欠です。オートエアコンの賢い使い方、具体的には、設定温度を現実的な25℃(日本車)または22℃(欧州車)を目安とし、風量で体感温度を調整することが燃費と快適性の両立に繋がります。また、炎天下で熱された車内を素早く冷やすためには、窓を開けて熱気を排出し、走行風を利用した換気後にエアコンの内気循環を効果的に活用しましょう。さらに、サンシェードは車内温度上昇を抑制する非常に有効な手段であり、駐車時の必須アイテムと言えます。これらの対策を実践し、この夏のドライブをより快適で安全なものにしましょう。

参考資料

  • カルソニックカンセイ (現マレリ) 2017年8月10日広報資料より