2025年8月31日にアフガニスタンを襲った大規模な地震は、特に東部クナール州に甚大な被害をもたらしました。複数の村落では家屋の大半が倒壊し、「村がほぼ消滅した」と生存者たちは証言しています。政府報道官の発表によると、同州での死者は1411人、負傷者は3124人に上り、5412棟もの家屋が倒壊しました。道路の寸断により、山岳地帯の被災地への救助活動は依然として難航を極めています。この未曽有の災害は、アフガニスタン国民に深い悲しみと絶望をもたらしています。
生存者の証言:恐怖の瞬間と壊滅的被害
「爆発かと思った」:ヌール・モハンマドさんの体験
クナール州ヌルグル地区から軍のヘリコプターで救助されたヌール・モハンマドさん(67)は、東部の主要都市ジャララバードの病院前で、震災の恐怖を本紙通信員に語りました。8月31日深夜、自宅の2階で孫2人と就寝中、モハンマドさんは「爆発が起きたかと思った」と表現するほどの大きな音で目覚めました。その直後、強い揺れが襲い、自宅は瞬く間に崩れ落ちたといいます。
意識を取り戻したとき、孫や1階で寝ていた妻と娘たちは、がれきの下に埋もれていました。屋外に出て初めて目の当たりにした光景で、それが地震であったことを悟ったとモハンマドさんは話します。彼は負傷した妻と息子2人を必死にがれきから掘り出しましたが、残念ながら娘と孫は命を落としました。「村が全滅した。叫び声や泣き声が聞こえたが、誰も助けてくれなかった」と、モハンマドさんは声を震わせながら語り、その時の絶望感を露わにしました。
アフガニスタン・ジャララバードで地震により倒壊した家屋を見つめる男性。壊滅的な被害の様子を物語る。
村の壊滅と住民の絶望
現地では、家屋の多くが土のれんが造りで、地震に対する耐性が極めて低いことが被害を拡大させました。山腹に位置する村々には数百人規模の住民が生活していたとみられますが、救助された住民たちは一様に「村が消えた」と口をそろえています。妻と息子2人を亡くしたジョン・モハンマドさん(52)も、「屋根が落ちてきた。何千人もの人が、がれきに埋まったままだ」と語り、未だ救助を待つ多数の被災者がいることを示唆しました。被災地の広範囲にわたる壊滅的な状況は、救助活動の困難さを一層高めています。
結論
アフガニスタン東部を襲った今回の地震は、クナール州を中心に想像を絶する規模の破壊と人的被害をもたらしました。生存者の証言からは、一瞬にして日常が奪われ、多くの家族が分断された悲劇が浮き彫りになっています。被災地は山岳地帯にあり、道路の寸断が続く中で、救助と支援物資の搬入は極めて困難な状況です。国際社会からの緊急人道支援が、これ以上犠牲者を増やさないためにも喫緊の課題となっています。
参考資料
- Yahoo!ニュース (元記事:読売新聞)
- ロイター通信