ロシア、ウクライナ領土要求を修正か:ドンバス割譲と南部停戦凍結の可能性

トルコのハカン・フィダン外相によると、ロシアはウクライナに対する領土要求を修正し、東部ドンバス地域全域の割譲を引き続き要求する一方で、南部ザポリージャ州とヘルソン州に関しては現在の前線での戦闘凍結に応じる用意があることを示唆しました。これは、国際社会がウクライナ紛争の和平プロセスに注目する中で、新たな展開として受け止められています。

ロシアの初期要求と現状把握

ロシアは現在、ウクライナ領土の約5分の1を実効支配しており、2014年に併合したクリミア半島に加え、ドネツク、ルハンスク、ヘルソン、ザポリージャの4州を自国領と主張しています。2022年のロシアによる侵攻が始まった後、トルコのイスタンブールで行われた和平交渉において、ロシアの交渉担当者は、紛争終結の前提条件として、ウクライナがこれらの併合を主張する地域から完全に撤退することを要求していました。

フィダン外相が語る「予備的合意」の内容

フィダン外相がトルコのテレビ局「TGRT Haber」のインタビューで明らかにしたところによると、ロシアのウラジーミル・プーチン大統領と米国のドナルド・トランプ大統領による首脳会談後、ロシアは以前の要求から態度を軟化させたといいます。フィダン外相は28日、「今や彼ら(ロシア)はその要求を断念している。ドネツク州の25~30%の返還と、ザポリージャ、ヘルソン両州の境界線の維持について、現在、予備的(合意)がある」と発言しました。しかし、この「予備的合意」が具体的に誰と誰の間で交わされたのかについては明らかにされませんでした。

トルコのハカン・フィダン外相がアンカラで演説する様子。ウクライナ和平交渉におけるロシアの要求修正について言及。トルコのハカン・フィダン外相がアンカラで演説する様子。ウクライナ和平交渉におけるロシアの要求修正について言及。

ウクライナの立場とクレムリンの反応

ウクライナはこれまで一貫して領土割譲を拒否する姿勢を崩していません。しかし、ウォロディミル・ゼレンスキー大統領は以前、領土の返還は戦場だけでなく、外交を通じて確保する必要があるとの見解を示したことがあります。

ロシアの現行の支配状況を見ると、クリミアは2014年以来完全に掌握されており、ルハンスク州もほぼ全域を占領しています。ヘルソン州とザポリージャ州も大部分がロシアの支配下にありますが、州都は未だウクライナが保持しています。フィダン外相の発言について問われたロシア大統領府(クレムリン)のドミトリー・ペスコフ報道官は、「米アラスカ州での(プーチン、トランプ)両大統領の会談については、意図的に詳細すべてを明らかにしていない」と述べ、詳細を公開することが和平プロセスを阻害する可能性があると説明を避けました。

結論

今回のトルコ外相による発言は、ウクライナ紛争の和平交渉において、ロシアが領土に関する要求を一部修正する可能性を示唆するものです。ドンバス全域の割譲要求は維持しつつも、南部2州における停戦凍結への意欲は、今後の外交交渉の方向性に影響を与えるかもしれません。しかし、ウクライナ側の領土割譲拒否の姿勢や、クレムリンが詳細を明かさない状況から、和平への道のりは依然として複雑で不透明なままであると言えるでしょう。

参考資料