麻生太郎氏、石破首相への「早期総裁選要求」の波紋

自民党の最高顧問を務める麻生太郎氏（84）が、9月3日に横浜市で開催された麻生派の研修会で、石破茂首相（68）の任期満了を待たずに「総裁選の前倒し」を求める意向を公言しました。「私自身は、要求する書面に署名し、提出すると決めている」と断言したこの発言は、先の参院選における自民党の大敗を受け、党内では既に高まっていた早期総裁選待望論に、大きな波紋を広げています。しかし、この動きに対し、国民からは麻生氏自身の「政界引退」を求める厳しい声も上がり、その政治的意図と効果について、様々な憶測を呼んでいます。

麻生氏、初の公の場で「早期総裁選」を明言 – 背景に参院選惨敗

自民党が先の参院選で歴史的な惨敗を喫したことは、党内における石破首相への不満を決定的なものとしました。麻生氏は研修会でこの「惨敗だったことは明らかだ」と明言し、公の場で初めて、総裁選の前倒し実施を強く求めました。

自民党の党則では、総裁の任期満了前に「党所属の国会議員および都道府県支部連合会代表各1名の総数の過半数」の要求があった場合、臨時総裁選挙を行うことが定められています。現在、党所属国会議員295人のうち、過半数は172人。自民党は8日に国会議員の意思確認を行う予定であり、首相経験者にして党内屈指の実力者である麻生氏の意思表明は、要求実現に向けた党内の動きをさらに加速させると見られています。麻生氏自身は、派閥所属議員の行動を縛るものではないとしていますが、その影響力は計り知れません。

自民党最高顧問の麻生太郎氏が横浜での研修会で発言する姿。石破首相への前倒し総裁選要求を示唆。

石破首相との「因縁」が要求の原動力か

麻生氏と石破首相の間には、長年にわたる深い因縁が存在します。特に、2008年に発足した麻生政権の末期、石破氏が公然と「麻生おろし」に関わったことから、麻生氏は石破氏に対し快く思っておらず、「犬猿の仲」とまで言われています。さらに、昨年9月に行われた自民党総裁選の決選投票では、麻生氏が高市早苗氏（64）を支持し、石破氏との一騎打ちに臨みましたが、高市氏が敗れ、麻生氏自身も党の最高顧問という事実上の名誉職に追いやられる形となりました。このような過去の経緯が、今回の「石破おろし」に向けた麻生氏の奔走の原動力となっていると多くの関係者は見ています。

国民は麻生氏に「政界引退」を要求 – SNSの厳しい声

麻生氏の「石破おろし」の動きに対し、SNS、特にX（旧Twitter）上では、支持する声がある一方で、麻生氏自身の「政界引退」を求める声が多数を占めています。「#麻生太郎の政界引退を求めます」や「#麻生辞めろ」といったハッシュタグがトレンド入りし、以下のような厳しいコメントが相次いでいます。

「辞めるべきは麻生だよね」
「この人はいつまで政治家をやってるんだ？いい加減早く辞めてほしい」
「ゆりかごから今まで家柄に守られて傲慢さと卑劣さが肥大した幼児のような老爺。麻生こそ早く辞めてほしい」
「麻生太郎氏が国会から退場された方が石破首相が辞めるより何千倍も国民にとって幸せなこと」
「いつまでキングメーカー気取りなんだか。さっさと引退すりゃいいのに」

これらの声は、長年にわたり政界の要職にありながらも、国民感覚との乖離が指摘され続けてきた麻生氏に対する不満の表れと言えるでしょう。

繰り返される「失言」の歴史と国民感覚との乖離

麻生氏は40年以上にわたり国会議員を務め、自民党の随一の権力者として君臨してきましたが、その政治人生は数え切れないほどの失言によって、たびたび世間の不興を買ってきました。

例えば、副総裁時代の2023年1月には、地元の福岡県での講演会で、少子化の最大の原因が「出産する時の女性の年齢が高齢化しているから」などと発言し、批判を浴びました。さらに、2024年1月にも福岡県芦屋町での講演で、当時の外務大臣・上川陽子氏（72）を評する際に、「そんなに美しい方とは言わんけれど」「このおばさんやるねえ」などと発言し、大きな波紋を呼びました。

首相時代には、国会答弁で当時100円台だったカップ麺の値段を問われ「400円くらい？」と回答し国民のひんしゅくを買ったほか、度重なる失言から内閣支持率は10％台まで落ち込みました。低迷する支持率のまま衆院選に突入し、政権交代を許す大敗を喫したことから、自民党を下野させた「戦犯」とも評されることがあります。

現在の石破首相続投に懐疑的な国民は少なくありませんが、国民感覚とのズレが激しい麻生氏が「石破おろし」を主導すればするほど、かえって石破氏の支持が高まる可能性も指摘されています。

麻生氏の今回の行動が、果たして自身の政治的思惑通りに吉と出るのか、それとも長年の批判と失言の歴史が足かせとなり、意図しない結果を招くのか。日本政治の行方に注目が集まります。