フランスのエマニュエル・マクロン大統領は4日、ウクライナ支援に向けた「有志国連合」首脳会合後の記者会見で、停戦後のウクライナ展開を目指す部隊構想について、26カ国が参加意向を示していることを明らかにした。この部隊は「地上、空域、海域」での活動を想定しているという。しかし、イタリアやドイツが部隊派遣に否定的な立場を崩さず、欧州内での意見の分裂が浮き彫りとなった。
マクロン大統領、ウクライナ支援部隊構想を表明
マクロン大統領は記者会見で、ドナルド・トランプ前米大統領との電話協議に触れ、「米国はウクライナへの『安全の保証』に参加する意思を明確にした」と述べ、米国の支援策が数日内に示される見通しを示した。しかし、部隊派遣の詳細については「ロシアに計画は示さない」として、人員規模や具体的な参加国については言及を避けた。この構想はイギリスとフランスが主導しており、欧州主体の部隊をウクライナの非戦闘地域に展開することを目指している。米国は地上部隊の派遣は行わず、空域での支援に限定する方針であることから、欧州諸国は米国の関与の曖昧さに慎重な姿勢を見せている。
欧州諸国の慎重姿勢と意見の相違
イタリアのジョルジャ・メローニ首相は会合後に発表した声明で、ウクライナ領内への部隊派遣を改めて否定した。その上で、ウクライナ国外での兵士訓練や監視活動を通じて停戦を支援する意向を強調した。ドイツ公共放送ZDFによると、フリードリヒ・メルツ独首相は会合で部隊派遣について「追って決める」と発言。米国の関与が明確でない段階での決定を避けたいという姿勢を示した。ドイツは欧州最大のウクライナ支援国ではあるものの、当面はウクライナ軍の訓練や資金援助に注力する方針だという。ポーランドのドナルド・トゥスク首相もまた、会合で「停戦後も軍部隊は派遣しない」と表明した。トゥスク首相はさらに、3日にロシアのプーチン大統領が中国の習近平国家主席、北朝鮮の金正恩朝鮮労働党総書記とともに北京の軍事パレードに参列したことに触れ、「対抗陣営の政治的結束は明らか」と強い警戒感を示した。
国際社会の反応と日本の参加
4日に開催されたこの有志国連合会合には、欧州を中心に約30カ国が参加した。日本からは石破茂首相がオンラインで協議に加わり、国際的なウクライナ支援の枠組みに日本の立場と連携を示す形となった。各国の思惑が交錯する中、ウクライナの安全保障と欧州の結束は、依然として複雑な課題を抱えている。
結論
ウクライナ支援のための有志国連合が部隊構想を進める一方で、主要な欧州国間での意見の相違が浮き彫りとなり、特に地上部隊派遣に関する慎重な姿勢が目立つ結果となった。米国の支援が「安全の保証」に留まる中、欧州各国は自国の国益と国際的な責任の間で難しい判断を迫られている。ロシア・中国・北朝鮮の結束が指摘される中、自由主義陣営の結束と具体的な支援策の実行が今後の国際情勢を左右する重要な要素となるだろう。
参考文献
- Yahoo!ニュース: 「マクロン仏大統領、ウクライナ支援部隊構想で26カ国が関与意向…欧州の分裂は埋まらず」
- URL:
https://news.yahoo.co.jp/articles/be8c6d68295279c715e0825b38cb98da6293bae7
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