アメリカ渡航者が遭遇する謎の「SSSS」コードとは? 9.11以降の追加セキュリティ検査を徹底解説

海外旅行、特にアメリカへの渡航経験がある方の中には、搭乗券に突如として「SSSS」という見慣れない印字を見つけて、不安に感じたことがあるかもしれません。この謎のコードは一体何を意味し、なぜ印字されるのでしょうか?実はこれは、アメリカの入国・出国、あるいは経由便を利用する際に、特定の乗客に課される追加のセキュリティ検査を示す重要なサインです。

今回、世界102カ国247都市を旅し、『地球の歩き方』から旅のプロに選ばれた「リーマントラベラー」こと東松寛文氏の解説を基に、この「SSSS」コードの全貌と、それが印字された際にあなたが知っておくべきことを、詳細に解説します。突然の事態にも落ち着いて対応できるよう、ぜひご一読ください。

航空券に印字される「SSSS」の正体とその起源

航空券に印刷される「SSSS」は、「Secondary Security Screening Selection」の略称です。これは、TSA(運輸保安局)が定める追加の厳密なセキュリティ検査の対象者を示すコードであり、この印字がある場合、搭乗前にさらなる身体検査や手荷物検査を受ける必要があります。

この制度の運用は、2001年9月11日に発生したニューヨーク同時多発テロ事件後の法整備に基づいています。具体的には、2010年からTSAによって本格的に導入され、テロ対策の一環として「危険と思われる乗客」を水際で食い止めることを目的としています。しかし、選定基準は完全には公開されておらず、テロ対策ウォッチリストに名前がある乗客だけでなく、ダミーとして一般の乗客もランダムに選ばれることがあります。そのため、心当たりのない方が搭乗券で「SSSS」を目にすることもあり得るのです。

アメリカ渡航者の搭乗券に印字された「SSSS」の文字と追加セキュリティ検査の必要性。アメリカ渡航者の搭乗券に印字された「SSSS」の文字と追加セキュリティ検査の必要性。

なぜ「SSSS」が選ばれるのか?可能性を高める要因を深掘り

TSAや航空会社は「SSSS」の選定基準を詳細には明らかにしていませんが、これまでの事例や専門家の見解から、以下のような乗客が選定される可能性が高いとされています。

まず、最も直接的な要因として、FBIのテロ対策ウォッチリストに名前が登録されている乗客が挙げられます。これには、氏名が類似しているために誤って選ばれるケースも含まれます。また、アメリカが「危険」とみなしている国、例えばテロ支援国家などからの入国を試みる乗客も対象となる可能性が高まります。このような国からの渡航は、特に厳しい監視下に置かれがちです。

さらに、旅行のパターンや航空券の購入方法も「SSSS」選定の要因となり得ます。具体的には、以下のような「リスクが高い」と判断される旅程や購入行動が挙げられます。

  • 片道航空券での渡航: 往復航空券に比べて、片道航空券は不審な渡航と見なされやすい傾向があります。
  • 出発直前の予約: 急な予約は計画性の低い渡航と判断され、警戒されることがあります。
  • 現金による航空券購入: クレジットカード決済が主流の現代において、多額の現金を伴う購入は監視の対象となることがあります。

これらの要因はあくまで可能性であり、一つでも当てはまれば必ず「SSSS」が印字されるわけではありません。また、前述の通り、無作為に選ばれることも多いため、心当たりがなくとも追加セキュリティ検査の対象となることは十分考えられます。

「SSSS」に遭遇した際の心構えと対応

もしあなたの航空券に「SSSS」が印字されていても、過度に心配する必要はありません。これはあくまでアメリカの安全保障措置の一環であり、あなたが危険人物であると断定されたわけではありません。重要なのは、落ち着いてTSA職員や航空会社の指示に従い、追加のセキュリティ検査に協力することです。

検査は通常、身体の精密検査、手荷物の徹底的な再検査、さらには電子機器の確認などを含む場合があります。このプロセスは通常の検査よりも時間を要するため、チェックインや搭乗手続きには余裕を持って臨むことが賢明です。

「SSSS」コードの存在を知り、その意味と選定要因を理解しておくことは、アメリカ渡航をよりスムーズで安心なものにするための重要な知識となります。不測の事態にも冷静に対応し、安全な旅を楽しんでください。