朝ロ会談:プーチン大統領が「同盟」を明言、北朝鮮軍参戦の新たな真実が明らかに

ロシアのプーチン大統領と北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)国務委員長による北京での会談は、両国の関係性、ひいては朝鮮半島および国際社会の地政学に重要な変化をもたらす可能性のある新たな事実を浮き彫りにしました。特に、プーチン大統領が北朝鮮軍のウクライナ紛争参戦が金正恩委員長の「発起」(提案)によるものだと明言し、朝ロ関係を「同盟関係」と初めて公に規定した点は注目に値します。この発言は、単なる情報開示に留まらず、両国の関係深化と、韓国の対ロシア外交が招いた副産物という多層的な意味合いを含んでいます。

プーチン大統領の新たな言及:北朝鮮軍参戦の「発起人」は金正恩氏か

プーチン大統領は3日、中国・北京の釣魚台で行われた金委員長との会談冒頭で、メディアに対し「(金正恩)国務委員長同志の発起により朝鮮の兵士たちがクルスク州解放戦に参戦した」と述べました。これは、北朝鮮軍のロシア・ウクライナ戦争への参戦が、ロシアからの要請ではなく、北朝鮮側からの提案であったという新事実を公に認めたものです。朝ロ両国は今年4月にはじめて派兵の事実を公開しましたが、その提案者がどちらであるかはこれまで明らかにされていませんでした。プーチン大統領がこの事実をあえて公にした背景には、朝ロ関係を特定の信頼関係、友好関係、さらには「同盟関係」と位置づけたいロシア側の意図がうかがえます。

「同盟関係」への格上げ:プーチン氏の認識変化とその背景

今回の会談でプーチン大統領が朝ロ関係を「特殊な信頼関係、友好関係、同盟関係」と規定したことは、昨年6月の平壌での首脳会談時とは明確な違いを示しています。当時、プーチン大統領は朝ロ「包括的戦略パートナーシップ」条約署名後の記者会見で「同盟」という表現を極力避け、金委員長が3度も「不敗の同盟関係」への昇格を強調したにもかかわらず、新条約を「突破口的文書」と表現するにとどまっていました。

このプーチン大統領の認識の変化は、金委員長の「派兵求愛外交」と、韓国の尹錫悦(ユン・ソクヨル)前大統領による露骨な「反ロ外交」の意図しない副産物とみられています。韓国政府関係者の分析では、プーチン大統領の発言は、朝ロ同盟の復元がロシア主導ではないことを示唆し、尹前大統領の突然のウクライナ訪問や「生即死、死即生」発言といった極端な反ロ外交が朝ロ関係の緊密化を招いたという見方を補強しています。

長時間会談とプーチン氏の異例な「厚遇」

今回のプーチン大統領と金委員長の会談は、拡大形式で1時間30分、単独で1時間と、計2時間30分にも及びました。これは、多国間外交の機会を利用した二国間会談としては異例の長さであり、プーチン大統領が金委員長に特別な「厚遇」を与えたことを示しています。プーチン大統領はメディアを前に「ロシアは決して北朝鮮の軍人と家族の犠牲を忘れない」とまで言及しました。これに先立ち、韓国国家情報院は2日、派遣された北朝鮮兵の戦死者が2千人余りに上ると推定されると国会情報委員会に報告しており、この発言の重みがさらに増します。

韓国新政権への「外交シグナル」か

プーチン大統領の一連の発言は、李在明(イ・ジェミョン)政権の対ロシア外交基調次第で、韓ロおよび朝ロ関係が現在とは異なる状況になり得るという「プーチン流の外交シグナル」と解釈できるという見方が政府関係者から出ています。これは、ロシアが韓国に対し、今後の外交政策の方向性によって関係を再構築する余地があることを示唆すると同時に、現在の朝ロの接近が韓国のこれまでの外交政策の結果であるというメッセージを内包していると言えるでしょう。

参考文献

  • 北朝鮮「労働新聞」2024年4月4日付報道
  • 韓国国家情報院 2024年4月2日 国会情報委員会報告
  • 各社報道および政府関係者談話