厚生労働省は5日、新型コロナウイルスワクチンの2024年度定期接種に関して、オミクロン株のLP・8.1系統とXEC系統に対応する5種類の製品の使用を正式に決定しました。この新たな接種方針は、65歳以上の高齢者および基礎疾患を持つ60歳から64歳までの人々を主な対象とし、今年10月1日から来年3月末までの期間で実施されます。現在国内で主流となっている「ニンバス」と呼ばれる変異株に対しても、これらのワクチンは効果が期待されています。
オミクロン株対応ワクチンの対象と期間
今回の定期接種の対象は、重症化リスクの高い層に限定されます。具体的には、65歳以上の高齢者すべてと、60歳から64歳までの間で特定の基礎疾患を持つ方が該当します。接種期間は2024年10月1日から2025年3月末日までと定められており、対象者はこの期間内に接種を受けることが推奨されます。厚生労働省のワクチン分科会による承認を経て、この方針が最終決定されました。
自己負担増加の可能性:費用と助成制度
新型コロナワクチンの接種費用については、課題が浮上しています。接種1回あたり約1万5千円と試算されていますが、昨年度まで国から各自治体に支給されていた助成金(1回あたり8,300円)が本年度で終了したため、状況は大きく変わります。今年度は自治体独自の補助制度がある場合のみ自己負担額が軽減される見込みで、多くの場合で自己負担額が増加する可能性があります。定期接種の対象外となる人々は、原則として全額自己負担となるため、費用面での注意が必要です。
使用される5種類のワクチンとその特徴
今回使用が決定した5種類のワクチンは、以下の通りです。
- mRNAワクチン3製品: 米ファイザー製、米モデルナ製、第一三共製。
- 組み換えタンパクワクチン1製品: 武田薬品工業製。
- レプリコンワクチン1製品: Meiji Seika ファルマ製(mRNAが細胞内で自己複製するタイプ)。
これらはいずれも昨年度の接種でも使用実績がある製品であり、安全性と有効性が確認されています。
変異株選択の国際基準
今回ワクチンで対応する新型コロナウイルス変異株の選定にあたっては、世界保健機関(WHO)の推奨基準が重視されました。さらに、日本国内での変異株検出状況も詳細に分析され、最も効果的な対応が可能なLP・8.1系統およびXEC系統が選ばれました。これにより、国内外の最新の感染状況に基づいた科学的根拠のある対策が講じられます。
今回の厚生労働省の決定は、高齢者や基礎疾患を持つ人々が新型コロナウイルス感染症の重症化リスクから身を守るための重要な一歩となります。対象者およびそのご家族は、接種期間や自己負担額に関する最新情報を自治体の広報などを通じて確認し、適切な時期に接種を検討することが肝要です。
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