自民党の有村治子参院議員は9月4日夜、X(旧Twitter)を通じて「自民党両院議員総会長の辞表を、森山幹事長に提出させて頂きました」と報告した。これは、総会の議事進行役を務めた現職がその職を辞するという異例の事態であり、夏の参院選大敗後の党内情勢に一石を投じる形となった。
有村議員、両院議員総会長を辞任:異例の背景
有村議員は9月2日に開催された自民党両院議員総会において、衆参両院の中立的な立場から議事を取り仕切る総会長を務めた。この会合では、与党が過半数に届かなかった夏の参院選の総括が報告されていた。
総会開会前、有村議員が石破茂首相と打ち合わせを行う様子を捉えた動画がSNS上で広く拡散。これに対し有村議員は4日、「総理の尊厳にも、私の信用にも関わります」として、動画拡散の背景について説明する投稿を行っていた。しかし同日夜、一転して総会長辞任の意向を表明したことで、党内および世間に大きな衝撃が走った。
自民党両院議員総会開催前、石破茂首相(左から2番目)と話し合う有村治子参院議員(左端)。この打ち合わせ動画がSNSで拡散され、後に有村議員が総会長を辞任する政治的背景と関連付けられています。
「主権者の民意」を重視:現体制維持への強い懸念
有村議員は辞任の理由について、「自民党幹事長/総務会長/政調会長/選挙対策委員長の四役の辞意表明から丸2日が経ちました」と前置きし、報道されている党の現状に対する強い懸念を表明した。彼女は、「総裁が意図して、後任人事を指名しない事によって、現体制の維持継続を図るとされています。各種報道が正しいとすれば、【2度の国政選挙で大敗した責任を取るために、自民党の最高幹部が、誰一人として辞任しない】と言う事になってしまいます」と指摘。
この状況に対し、「【国政選挙の結果こそ、主権者たる国民の最大の民意】だと信じる私は、現状を看過することができません」と、主権在民の原則に基づいた自身の政治的信念を強調した。有村議員は、総会長としての職責に真摯に向き合ってきたことに悔いや未練はないとし、「この上は、一議員として、挙党態勢の再構築と、国政の本分に尽くして参ります」と今後の決意を語った。
麻生派との関連を否定:独立した判断を強調
辞任の経緯を巡る憶測に対し、有村議員は「なお、私は志公会(麻生派)に所属しておりますが、両院議員総会の進行に関して、麻生最高顧問から、いかなる打診も受けておらず、両院議員総会の公正な進行に疑義が出ないよう、8月8日の総会終了まで、一切の連絡を控えておりました」と明言。
さらに、「このたびの辞任に関しても『辞めるべき』との指南を受けておらず、熟慮した上での自らの判断です」と、派閥からの影響を完全に否定し、自身の独立した判断であることを強調した。また、「『派閥全員に、総裁選実施に向けた署名提出の指示が出ている』と言う事実も、全く無い事を、ここに明言致します」と、一部の憶測を打ち消した。
この有村議員の辞任は、参院選大敗後の自民党において、指導部の責任問題と党内改革の必要性を改めて浮き彫りにする出来事となった。
参考文献
- Yahoo!ニュース. (2025年9月5日). 有村治子参院議員、自民党両院議員総会長を辞任 「現状を看過できない」とXで報告.
https://news.yahoo.co.jp/articles/1778f8e2d6dde0eb00fce5a16edc423f24cd3b5e