2025年8月半ばごろ、『朝だ!生です旅サラダ』(テレビ朝日系)にレギュラー出演するタレントの勝俣州和さんの言動がインターネット上で波紋を呼びました。VTR中の賑やかなリアクションやスタジオでの大きな声での相槌が「うるさい」「耳障り」といった指摘を受け、一部の視聴者からは困惑の声が上がっています。かつてテレビ業界で重宝されたリアクション芸が、なぜ今、賛否両論を呼ぶのか。「勝俣州和 好感度」の背景には、タレントの評価軸の変化と、社会が求める「愛されるキャラクター」の変遷が見て取れます。
「ファン0人説」から「空気を読まない人」へ:勝俣州和の変遷
勝俣州和さんは2011年から『旅サラダ』にレギュラー出演していますが、近年、そのリアクション芸に対する視聴者の反応は厳しさを増しています。SNSでは「朝から騒がしい」「共演者の話にかぶせている」といった批判的なコメントが散見され、彼の振る舞いが視聴者の視聴体験を損ねているとの意見も少なくありません。
彼の好感度に関する議論は、これが初めてではありません。2014年には『水曜日のダウンタウン』(TBS系)で、おぎやはぎの矢作兼さんが「勝俣州和ファン0人説」という大胆な仮説を提唱し、大きな反響を呼びました。この説は、テレビ業界内では高く評価される一方で、一般視聴者に熱狂的なファンが存在しないという彼の特異な立ち位置を示唆していました。
長年、勝俣さんは『ダウンタウンDX』(日本テレビ系)のような「ひな壇トーク」番組で、芸能人の意外な素顔や芸能界の裏話を披露する「語り部」として重宝されてきました。しかし、コロナ禍や制作費削減の影響によりひな壇番組が激減。彼が最も得意とするポジションの出番が減少したことで、彼の実力を認めていた視聴者でさえ、内心抱えていた苦手意識が再び表面化し始めたのかもしれません。活躍の場が変わり、かつては評価された「変わらないテンション」が、現在の『旅サラダ』のような落ち着いた番組の空気においては、「空気を読まない人」と受け取られてしまうという皮肉な状況が生じています。
「生き様」で評価を逆転させたタレントたち
一方で、長年の芸風を変えずに、あるいは一度は批判に晒されながらも、時を経て「愛されるキャラクター」へと評価を逆転させたタレントも存在します。彼らの共通点として挙げられるのは、言葉や表面的な芸風だけでなく、「生き様」を通して人々の共感や応援を得ている点です。
出川哲朗:批判から共感へ
かつて「抱かれたくない芸能人」の常連だった出川哲朗さんは、今や国民的な「愛される中年キャラ」として揺るぎない人気を確立しています。彼の芸風は昔と大きく変わらないものの、『世界の果てまでイッテQ!』(日本テレビ系)で見せる体を張った挑戦、秀逸なナレーションによるツッコミ、そして中年となり変化したおじさん体型が醸し出す悲哀が、視聴者の強い共感を呼んでいます。満身創痍の体に鞭打ちながらも、愚直に笑いを取りにいくその姿は、多くの人々に「応援したい」という気持ちを抱かせます。
抱かれたくない男から愛される中年キャラへとイメージを一変させた2018年当時の出川哲朗さん。好感度逆転の象徴として
辻希美:子育てバッシングを超えて
元モーニング娘。の辻希美さんもまた、かつては子どもの食事や生活スタイルに関して細部にわたるまでネット上で激しい批判を受けていました。しかし、5児の母となった現在では、懸命な子育てに共感する声が圧倒的に増えています。彼女が第一子を産んだのは20歳の時。当時は未熟さや時代錯誤な価値観が過度なバッシングを生んでいた側面もありますが、今やその「ママとしての生き様」が、多くの支持を集めています。
加藤綾菜:夫を支える献身的な姿
加藤茶さんとの45歳差婚で一時は大きな話題となり、当初は批判の対象となることもあった加藤綾菜さん。しかし今では、夫を献身的に支える姿が高く評価されています。食育や介護の資格を取得し、どこまでも夫に寄り添い続けるその姿勢は、多くのアンチを減らし、夫婦の絆の深さを示すものとして、多くの共感を呼んでいます。
好感度逆転の鍵:「言葉」ではなく「生き様」
これらの好感度を逆転させたタレントたちに共通しているのは、単に「言葉」や「芸風」を技巧的に変えたのではなく、彼らがその「生き様」を通して、視聴者に真の人間性や努力、そして変化する社会に適応する姿を見せつけた点にあります。彼らは、自らの経験や背景を隠さずに表現することで、人々の共感を呼び、結果として評価を勝ち取っていきました。
勝俣州和さんの場合、その「変わらないスタイル」は、かつては彼の強みでした。しかし、現代の視聴者が求めるのは、タレント個人の変化や成長、そして彼らの人生観が透けて見える「人間味」なのかもしれません。彼がいまだ過去のテンションのままに固執していると見られる限り、その印象が大きく変わることは難しいでしょう。自身の変化や背景を視聴者に見せることで、新たな共感や支持を得るきっかけとなるのではないでしょうか。