アメリカのトランプ大統領が9月7日、イリノイ州シカゴへの軍派遣の可能性について質問したNBCの記者に対し、激しい言葉で非難し、大きな物議を醸しました。この発言は、国内の民主党支持都市への強硬姿勢が続く中での出来事であり、メディア対応と大統領の権威に対する議論を再燃させています。
背景:物議を醸すトランプ氏の強硬姿勢
トランプ大統領はこれまでも、ロサンゼルスやワシントンD.C.など、犯罪や非正規滞在移民の取り締まりを名目に、民主党支持者が多い都市に州兵や連邦捜査官を派遣してきました。さらに、9月5日には国防総省を「戦争省」に改称する大統領令に署名。翌6日には、映画『地獄の黙示録』の場面をシカゴに置き換え、自身の顔を合成したAI画像をトゥルース・ソーシャルに投稿するという、挑発的な行動に出ていました。投稿には「朝の国外追放の匂いは格別だ。シカゴは『戦争省』と呼ぶようになった理由を知ることになるだろう」と記されており、イリノイ州のプリツカー知事からは「アメリカの大統領が、自国の都市と戦争をするぞと脅している。正常なことではない」と強く批判されていました。
記者との直接対決:「ダーリン」「黙れ」「二流」発言の波紋
このような背景の中、NBCのヤミシェ・アルシンダー記者は9月7日、トランプ氏の物議を醸した投稿について「シカゴと戦争をしようとしているんですか?」と直接質問しました。これに対し、トランプ氏は冒頭「ダーリン、それはフェイクニュースです」と返答。アルシンダー記者がさらに質問を追及しようとすると、トランプ氏は「いいか、黙りなさい。聞くんだ。君は話を聞こうとしない。いつもそうだ。だから二流なんだ」と非常に強い言葉で記者の態度を非難しました。大統領は続けて「戦争なんかしない。街を綺麗にするだけだ。毎週末5人も殺されるような状況を終わらせる。それは戦争じゃなくて常識です」と主張し、自身の意図を弁明しました。
記者会見でシカゴへの軍派遣に関する質問に答えるトランプ大統領の様子
広がる批判:SNSでの反響
トランプ大統領の一連の言動、特に女性記者への「ダーリン」という呼びかけや「黙れ」「二流」といった言葉遣いに対して、SNS上では即座に多くの批判が寄せられました。「大統領が女性記者をダーリンと呼び、黙れと命じ、二流だという。これが2025年のアメリカだ」といった声が多数を占め、大統領としての品格とメディアとの関係性について、再び大きな議論を巻き起こしています。
結論
トランプ大統領のシカゴへの軍派遣を巡る一連の発言と行動、そして記者会見でのメディアに対する高圧的な態度は、国内政治における分断と、大統領と報道機関の関係性の緊張を浮き彫りにしました。この出来事は、今後のアメリカ政治の動向、特に大統領選挙を控える中で、さらに注目されることとなりそうです。
参考文献
- ハフポストUS版記事
- Yahoo!ニュース (https://news.yahoo.co.jp/articles/653aa72112abe7ab0fabbbfaf13c272c7cf6bbb6)