米ホワイトハウスで撮影され、SNSで瞬く間に拡散された“不可解な映像”が、世界中で大きな注目を集めています。映像には、厳重なセキュリティ体制が敷かれているはずの建物から、黒い袋のようなものが窓から投げ捨てられる瞬間が収められていました。この一連の騒動に対し、当時のドナルド・トランプ大統領が示した驚くべき見解、すなわち「生成AIによるものだ」という主張は、さらなる波紋を呼んでいます。本記事では、ホワイトハウスで発生したこの謎の出来事と、トランプ氏の異例のAI発言の真相、そしてそれに対する世論の反応を深掘りします。
ホワイトハウス窓から“黒い袋”の映像が拡散
問題の映像は、アメリカの祝日である「労働者の日」の9月1日に匿名で投稿されました。SNSで拡散された動画には、ホワイトハウス2階の窓に人影が映り込み、そこから何らかの黒い袋状のものが外に落とされる様子が鮮明に記録されています。映像を撮影した人々は、ホワイトハウスを見渡せる位置から撮影したとみられ、「また投げたの?」「なんてこった」といった驚きの声が収められています。投稿者は「大掃除か何かでしょうか?」と疑問を呈しましたが、これに対し一部からは、「2001年の米同時多発テロ以降、ホワイトハウスの窓は開閉できない仕様になったはずだ」との指摘が寄せられ、様々な憶測が飛び交いました。
メンテナンス業者によるものと判明、トランプ氏不在時
こうした混乱と憶測が広がる中、ホワイトハウス関係者は映像の真偽について公式に言及しました。複数の現地メディアの報道によれば、この映像は、当時ホワイトハウスを訪れていた定期メンテナンス業者によるものだと認められました。トランプ大統領(当時)は、この出来事が発生したとされる日、米バージニア州のゴルフ場を訪れており、ホワイトハウスには不在でした。これにより、事件の「不可解さ」は一時的に解消されたかに見えました。
トランプ氏の“生成AI説”と窓の防弾仕様に関する主張
連休明けの9月2日、公の場に姿を見せたトランプ氏は、報道陣からこの疑惑の映像について質問を受けました。その際、彼は驚くべき回答をもって対応しました。トランプ氏は、「おそらく生成AIによるものだ」と即座に断定したのです。さらに彼は、「窓は開けられない。なぜかわかるか?装甲が取り付けられていて、防弾仕様だからだ。私はすべての窓を知っている」と主張。以前、妻のメラニア夫人が窓を開けて換気したいと不満を漏らした際にも、上記の理由から「それはできない」と伝えたことを明かしました。
ドナルド・トランプ元米大統領が会見で発言する様子。ホワイトハウスの不可解な映像について、「生成AIによるものだ」と主張し物議を醸した。(2025年9月3日撮影)
メディアの反論と大統領側近からの示唆
しかし、トランプ氏のこの発言は、すぐさまメディアからの反論を招きました。FOXニュースのホワイトハウス特派員ピーター・ドーシー氏は、実際の映像をトランプ氏に見せ、その主張に疑問を投げかけました。さらに、大統領側近からも、ホワイトハウスの改修工事によって一時的に窓が開けられる状態になっていた可能性が示唆され、トランプ氏の「窓は開けられない」という主張とは異なる見解が提示されました。
固執する「AIが物事を創造する」という持論
にもかかわらず、トランプ氏は自身の“生成AI説”に固執し続けました。彼はAIについて、「AIが抱える問題の一つは、いい点と悪い点があるということだ。本当に悪いことが起きたら、AIのせいにすればいい。しかし、AIが物事を創造することもある。だからいい悪い、両方に作用するんだ」と持論を展開。さらに、「もし本当に悪いことが起きたら、それはよくないし、AIを責めるかもしれない。でもこれは真実だ。なぜならこれまで多くのインチキを見てきたからだ」と続け、「赤ん坊のころから今に至るまで、成長する過程で“あるもの”を見てきた。『これ、誰がやったんだ?』と疑問に思ったものは、すべてAIが作ったものだった」とまで語り、自身の「AIに対する正直なところ少し怖い」という感情を表明しつつ、「窓はすべて厳重に閉じている」と主張を曲げませんでした。
世論の反応と「大統領不在時の特例」
トランプ氏のこの一連のAIに関する発言に対して、SNS上では「マジで何言ってんの?」「おそらくジョークのつもりだったんだろう」「まあAIが脅威なのは確かだけど……」「いつも被害者ヅラだよね」といった様々な声が上がりました。その中には、困惑、皮肉、あるいはAIの脅威への共感など、多岐にわたる反応が見られました。また、Reader’s Digestによれば、「大統領がホワイトハウス不在時にできる7つのこと」の一つとして、窓を開けることが挙げられており、実際には特定の条件下で窓の開閉が可能であるという事実も浮上しています。この情報は、トランプ氏の「窓は開けられない」という主張と食い違い、彼の発言の信憑性に対する疑念を一層深める結果となりました。
結論
ホワイトハウスの窓から物が投げ捨てられるという「不可解な映像」は、当初こそ単純なメンテナンス作業によるものと判明しましたが、ドナルド・トランプ氏がこの一件を「生成AIによるもの」と断定したことで、全く異なる次元の議論へと発展しました。彼のAIに対する独自の認識と、現実離れした主張は、メディアやSNS上で大きな物議を醸し、真実とフェイク、AIの役割、そして政治家の発言の重みについて改めて問いかける機会となりました。この出来事は、現代社会において情報がどのように拡散され、個人の見解がどのように世論を形成し得るのかを示す興味深い事例と言えるでしょう。
参考資料
- BuzzFeed Japan, 「ホワイトハウス窓から“黒い袋”が投げ捨てられる映像がSNSで拡散。トランプ大統領の回答に注目が集まる」
(https://news.yahoo.co.jp/articles/70b4af734c037d2f61eba078c792771d13a0ef24)