4日に投開票が行われた自民党総裁選では、高市早苗前経済安保大臣(64)が激戦を制し、女性初の総理誕生が現実味を帯びてきました。当初、小泉進次郎農水大臣(44)が有利と報じられる中でのこの「逆転劇」には、政界の重鎮、麻生太郎氏(84)の周到な戦略が大きく影響したとの見方が強まっています。本稿では、今回の総裁選の舞台裏と、小泉進次郎氏の敗因、そして麻生氏がかつて小泉氏に投げかけた「普通の人」という言葉の真意に迫ります。
麻生太郎氏の巧みな采配と高市氏の勝利
高市氏勝利の背景には、麻生氏の巧妙な「票の貸し借り」戦術があったと噂されています。1回目の投票で麻生派の票の一部を茂木氏や小林氏に振り分け、その後の決選投票でこれらの「貸した票」が高市氏に流れ込み、議員票で劣勢と見られていた高市氏が小泉氏を逆転する形となりました。この結果を受け、麻生氏は「名誉職」であった最高顧問から副総裁へと返り咲き、党四役には麻生派から鈴木俊一氏(72)が幹事長に、有村治子氏(55)が総務会長に就任するなど、「麻生氏主導の人事」との声が上がっています。
高市早苗氏、自民党総裁選勝利後に笑顔を見せる
小泉進次郎氏、まさかの敗北とその要因
一方、まさかの逆転負けを喫した小泉進次郎氏。その敗因としては、ネット配信で自身の陣営に有利なコメントを投稿するよう呼びかけた「ステルスマーケティング問題」が大きく尾を引いたとされます。さらに、政治部記者からは「見識の浅さが目立ち、政策が抽象的で物足りなかった」との指摘も。決選投票前の演説でも「熱量を感じることができなかった」ことが、有権者や党員の支持を十分に集められなかった要因として挙げられています。
17年前の麻生氏発言:「小泉進次郎は“普通の人”」の真意
今回、高市氏を強力に支持した麻生氏が、小泉進次郎氏をどう見ていたのか。実は、17年前の2008年9月、麻生氏が総理となった際の記者会見での発言が、総裁選後にSNSで改めて注目を集めています。当時、政界引退を表明した父、小泉純一郎元首相(83)の「後継者」について意見を求められた麻生氏は、進次郎氏に対し「お父さんと違って、“普通の人”よ」と答えていました。
小泉純一郎氏は、郵政民営化をはじめとする慣習にとらわれない大胆な政治活動から、永田町では「変人」や「宇宙人」といった異名を持つほどの個性派でした。麻生氏の「普通の人」という言葉は、この豪快な父と比較して進次郎氏を評したものと見られ、当時の発言の真意について、多くの考察が寄せられています。
SNSで話題:麻生氏の「人を見抜く力」
麻生氏の17年前の発言がSNSで拡散されると、ユーザーからは様々な反応が寄せられました。
「変わり者のお父さんとの対比で発せられた言葉らしい。今は全く違う意味に捉えられるのがまた面白い笑」
「麻生さんがなんて言おうかめちゃくちゃ言葉を考えてるのウケる」
「麻生さん、当時は親父みたいに変な人じゃないよっていう意味で言ったのだと思います。でも言外になんとなく、政治家は普通では務まらないよと言っている感じもありますね。」
「言葉を選んだ結果(気を使った結果)が『普通の人』」
「なるほど〜、人を見抜く能力高い人であることは理解しました」
といったコメントが多く見られ、麻生氏が当時すでに小泉進次郎氏の「実力」や「器」を見抜いていたのではないか、という見方が浮上しています。
今回の自民党総裁選は、麻生太郎氏の政治手腕と、重鎮が若手政治家を評価する際の深遠な洞察を浮き彫りにしました。高市早苗氏の勝利と小泉進次郎氏の敗北は、単なる選挙結果に留まらず、日本政治の奥深さと、時に非情な現実を示すものと言えるでしょう。