田久保眞紀・伊東市長への不信任案決議を受けて実施される伊東市議会議員選挙の投開票日が10月19日に迫り、伊東市の政治情勢は緊迫している。立候補者は30名に上り、そのうち18名は田久保市長が「大義なき議会解散」と評した決定により失職した前市議たちだ。この選挙は、単なる議席争いにとどまらず、田久保市長の今後を左右する重要な意味合いを持っている。学歴詐称疑惑が浮上して以来、混乱が続く伊東市政は、今まさに大きな転換点に立たされている。
伊東市議選の背景と田久保市長の進退予測
今回の伊東市議選における最大の争点は、田久保市長の去就である。前市議たちは、もし再選を果たせば、再び市長に対する不信任決議を提出する可能性を視野に入れて活動している。一方で、市長に近い支援者たちは、一人でも多くの「田久保派」議員を議会に送り込もうと水面下で動いている状況だ。全国紙の政治部記者は、今後の展開について次のように指摘する。「伊東市は10月31日に議会の臨時会を招集する方針を固めました。市議選の結果次第では、この臨時会で再度、田久保市長に対する不信任案が提出される可能性が高く、もし可決されれば、市長は失職することになります。失職を回避するためには、過半数の反対議決か、議会定員20名に対して少なくとも7名以上の欠席が必要です。しかし、先日行われた立候補予定者30名へのアンケートでは、25名が『不信任決議に賛成する』と回答しており、明確に反対したのは新人の片桐基至氏のみでした。現状では、市長の失職は避けられないと見られています。」「田久保おろし」の前哨戦と位置付けられるこの市議選挙は、「田久保派vs.反対派」という二項対立の構図が鮮明になっている。
伊東市議選で重要な役割を果たす元伊東市議・虫明弘雄氏の肖像。市長不信任案と学歴詐称疑惑を巡る混迷の中で、彼は市民のための政治を訴えている。
元市議・虫明氏が語る「最悪のシナリオ」と地方政治の課題
この「田久保派vs.反対派」という構図の選挙に警鐘を鳴らすのは、今回の立候補者の一人である元伊東市議の虫明弘雄氏だ。自民党系に属しながらも田久保市長との交流を持ち、学歴詐称疑惑の調査のために開かれた「百条委員会」のメンバーでもあった虫明氏は、現在の状況を「最悪のシナリオ」と表現する。「私は決して『田久保派』ではありませんし、自民党のためだけに政治をしているわけでもない。強いて言うなら、伊東市民のためです。今訴えるべきは、『田久保氏の市長としての資質』ではなく、あくまで伊東市のためになる具体的な政策であるべきです。その政策を前に進めるために、まずは安定した政治環境を作らなければならない。今回はそのために戦うんです。残念ながら、前市議を含む何人かの候補者の中には、その辺りを勘違いしている人が見受けられます。派閥関係なく、登場する人物たちの間で理念にズレがあると感じています。」
虫明氏はさらに、地方政治における「百条委員会」の使われ方についても言及。「百条委員会は本来、地方政治の『伝家の宝刀』であったはずが、とんとん拍子で開かれてしまい、その価値を下げてしまった。個人的には公聴会なども行ってから開催すべきだと思っていましたが、一気に『田久保おろし』のムードになってしまった。開催後も、感情的に物事を見ている議員が多いと感じていたのは、私だけではありません。」渦中の田久保市長については、「民意で選ばれたし、一定の評価はしていた」と語る虫明氏。しかし、彼女に対しては学歴詐称問題が持ち上がる前から、思うところがあったという。
今回の伊東市議選は、市長の進退だけでなく、伊東市政の根本的な方向性を決定づける重要な機会となる。政策論争よりも感情的な対立が先行する現状は、伊東市民にとって真に有益な結論を導き出す妨げとなる可能性があり、地方政治のあり方そのものが問われている。
参考文献:
- 田久保伊東市長が学歴詐称疑惑で窮地! “不信任案決議”に発展した市議選の行方と、元市議が語る“最悪シナリオ”とは (2025年10月18日)