芸人バッツネ、月収100万円から貯金ゼロへ転落後…窪塚洋介との出会いで再起!ホタルイカでM-1挑戦

一度は月収100万円の成功を収めながら、その後に貯金ゼロの窮地に陥った芸人バッツネ氏(37)。しかし、彼は逆境の中で新たな道を模索し、俳優・窪塚洋介氏(46)との奇跡的な出会いを経て、再起への道を歩み始めています。「残念ながら仕事はあまりないですが……正直、いまの自分は嫌いじゃないです」と語る彼の朗らかな表情は、波乱万丈な芸人人生を経て辿り着いた境地を物語っています。本記事では、売れない時代、突然のブレイク、そして絶頂からの転落、さらに再起をかけた現在の挑戦まで、バッツネ氏の知られざる奮闘と覚悟に迫ります。

突然のブレイク:あばれる君が切り開いた道

バッツネ氏の芸人としてのキャリアは、長い下積み時代から始まりました。本業での収入はゼロに近く、アルバイトで生計を立てる日々が続き、「芸人です」と名乗るのも気が引けるほどだったと言います。そんな彼に転機が訪れたのは2016年。事務所の先輩であるあばれる君氏の“イチオシ芸人”として、人気番組『さんまのお笑い向上委員会』(フジテレビ系)に出演したことで、一躍世間の注目を集めました。

その後、さらに大きなチャンスが舞い込みます。『陸海空 こんな時間に地球征服するなんて』(テレビ朝日系)では、世界各地の絶景をドローンで空撮する「ドローンアース」企画を担当。アイスランドやメキシコといった地で“世界初の画像”に挑戦し、高視聴率に貢献しました。この時期はまさに“波が来た”瞬間であり、レギュラー番組が決まり、イベントへの出演依頼も激増。収入も、それまでの月8万円から月100万円を超えるまでに跳ね上がったと振り返ります。まさに夢のような時間だったと、バッツネ氏は当時を懐かしそうに語っています。

全盛期と変わらぬテンションでポーズを決める芸人バッツネ全盛期と変わらぬテンションでポーズを決める芸人バッツネ

絶頂からの転落:慢心と浪費の日々

しかし、絶頂期は長くは続きませんでした。バッツネ氏は「いろいろ原因はありますが……」と苦笑いしながら、一番の原因は「調子に乗っていた」ことだと分析しています。「この好調はずっと続く」という楽観的な勘違いが、彼の仕事への向き合い方を甘くしました。現場でのトーク中に次の現場のことを考えるなど、目の前の仕事に魂が入っていなかったと、当時の自分を「恥ずかしくて情けない」と猛省しています。

大金を稼いだはずの彼は、気づけば貯金が1円も残っていませんでした。仕事があった頃は、ちょっとした移動にもタクシーを使い、食事は高価な有名店ばかり。高級ブランドの服を買い漁るなど、身の丈に合わない無駄な出費が積み重なった結果でした。貯金が底をついても、「芸人がバイトはできない」という変なプライドが邪魔をして、すぐにアルバイト生活に戻ることもできませんでした。

再起への決断:シェアハウスとホテルバイトが拓いた新境地

お金に困り、知人から借金を重ねる自転車操業の状態に陥ったバッツネ氏は、生活を立て直すためにある決断をします。それは「シェアハウス」の開始でした。一人暮らしをしていた7畳のワンルームに、後輩芸人のかごしま太郎氏、さらにハッピー遠藤氏を迎え入れ、3人での共同生活をスタートさせました。背に腹は代えられぬ状況だったと言います。

それでも生活は厳しく、支払いに追われる日々は続きました。そこで彼は、歌舞伎町の近くにあるホテルで受付のアルバイトを始めます。この仕事が、彼にとって意外な転機となります。様々な人と話す機会が増え、静謐なホテル内でじっくりと考える時間を持てたことで、「やってよかった」と語っています。このアルバイトは、彼の心境に大きな変化をもたらすきっかけとなったのです。

都心でスーツ姿で佇むバッツネ、彼のたそがれる姿が印象的都心でスーツ姿で佇むバッツネ、彼のたそがれる姿が印象的

運命の出会い:窪塚洋介との奇跡と新たな視点

ホテルで週末に働きながら、バッツネ氏はYouTubeを始めました。彼は大好きな俳優・窪塚洋介氏のモノマネ芸を、本人の許可を得ずに発信し始めます。『池袋ウエストゲートパーク』や映画『GO』のセリフをアレンジした少しふざけた動画は、予想以上にウケて再生回数を伸ばしていきました。

そんなある日、彼の人生を変えるメッセージが届きます。窪塚洋介氏本人からSNSを通じて「渋谷集合」というDMが届いたのです。最初はドッキリかと思ったバッツネ氏ですが、実際に渋谷に行ってみると、本当に窪塚氏がそこにいました。心臓が止まりそうになるほどの緊張の中、窪塚氏は彼を優しくハグしてくれたと言います。「怒られるかと思ってたのに、スッとハグしてくれて……視界がパッと開けて、明るくなりました。芸人としても、人としても救われた気がしました」と、その時の感動を語っています。

この出会いをきっかけに、窪塚氏はバッツネ氏のYouTube番組に出演。この動画は117万回再生を記録し、再び彼の活動に注目が集まりました。それ以降、年に1回ほどのペースで窪塚氏が出演協力しており、去年は窪塚氏の芸能生活30周年のパーティーにも招待されたとのこと。「あの人がいてくれたから、いまの僕がある」と、感謝の念を述べています。かつては「今日も何も残せなかった」と落ち込んでいたバッツネ氏ですが、今では「仕事をもらえたことがありがたい」「やれたことが幸せ」と思えるようになったと、窪塚氏やあばれる君氏との出会いがもたらした心境の変化を明かしました。

M-1への挑戦:「ホタルイカ」に込める再起の光

考え方が大きく変わったバッツネ氏は、恩返しをしたいという強い思いを抱いています。その恩返しとは何か、今後の目標を問うと、彼の言葉には一層熱がこもりました。去年から彼は新しいコンビ「ホタルイカ」を結成し、本格的にお笑いを再開しました。相方は同じ事務所の後輩で、ネタ作りもゼロから二人で取り組んでいます。コンビ名は千鳥の大悟氏(45)の番組でつけてもらったもので、「暗闇から光を放ちたい」という思いが込められています。

「これからはコンビの活動をもっと広げていきたい。M-1で勝ち進み、いつか決勝の舞台に立ちたい。もう一度、テレビに出て、ゴリゴリのお笑い番組で思い切りボケて、ツッコまれて、それを見て笑ってもらう――それが、僕……いや、僕らの目標です」と力強く語るバッツネ氏。彼の朗らかな表情の裏には、過去の失敗を乗り越え、新たな相方と共にM-1の決勝を目指すという、熱い決意と未来への希望が満ち溢れていることが伺えます。


参考文献