水道事業の運営権を民間に売却する制度の導入に向け、宮城県が提出した条例改正案について、県議会は11月定例会最終日の17日、本会議で採決を行い、賛成多数で可決、成立した。水道事業の運営権売却が決まれば全国初となる。条例改正案の成立を受け、県は実施方針を24日に公表し、民間事業者の公募を来年3月に始める。
本会議では、同改正案に反対の立場から討論を行った大内真理議員(共産党県議団)が「パブリックコメント(意見公募)では、県に説明責任を果たすように求める声が多かった。県民的な議論が不十分なままでの条例改正はあまりに拙速で強引だ」と述べた。
一方、賛成の立場で意見を述べた佐々木幸士議員(自民党・県民会議)は「人口減少や節水型社会の影響で、水道事業の運営環境は非常に厳しい。いま解決すべき課題を将来に先送りしては、未来の子供たちに過度な負担を強いることになる」とした。
県は令和4年4月から20年間にわたり、上下水道と工業用水の3事業を一体で民間に委ねる方針。3年3月に運営権を売却する事業者を選定し、同年の6月か9月の県議会定例会に事業者への運営権譲渡に関する議案を提出する。
村井嘉浩知事は反対討論で「県民の理解が不十分」と指摘されたことを受け、「真摯(しんし)に反省し、説明会を開催して県民の理解を深める努力を継続していく」と語った。