NHK連続テレビ小説「ばけばけ」で、松江にやってきた英語教師レフカダ・ヘブン(トミー・バストウ)の片腕として重要な役割を担うのが、吉沢亮演じる英語教師・錦織友一です。その深みのある人物像は、視聴者の間で「一体誰がモデルなのだろう?」と大きな関心を集めています。歴史評論家の香原斗志氏によると、錦織友一のモデルは、松江が生んだ稀代の秀才と謳われた西田千太郎だと言います。彼は小泉八雲(レフカダ・ヘブン)の良き理解者であり、さらには彼の結婚の仲人まで務めた人物ですが、二人の関係は突然終わりを告げたことでも知られています。この記事では、ドラマにおける錦織友一の描かれ方と、その背景にある歴史的真実を深掘りし、この魅力的なキャラクターの全貌に迫ります。
 吉沢亮、東京国際映画祭レッドカーペットでの姿。「ばけばけ」錦織友一役で注目の俳優
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錦織友一の人物像とその背景:吉沢亮が演じる「ばけばけ」のキーパーソン
吉沢亮が演じる錦織友一は、NHK連続テレビ小説「ばけばけ」において、主人公の物語と松江の歴史を結びつけるキーパーソンとして登場します。第4週「フタリ、クラス、シマスカ?」で、松野家を巡る借金と祖父の厳格さに耐えかねて出奔した銀二郎(寛一郎)を、トキ(髙石あかり)が東京まで連れ戻しに行った際に、下宿先で錦織と出会います。錦織は帝国大学の門前で倒れていた銀二郎を助け、居候させていたのです。
実は錦織自身も松江の出身であり、かつては地元で「松江一の秀才」と評される存在でした。しかし、家が貧しく体も弱かったために中学を中退せざるを得ず、一時は無資格ながら松江で教師として生計を立てていました。こうした自身の経験から、銀二郎の境遇に共感し、手を差し伸べたと考えられます。銀二郎は松野家に戻ることを頑なに拒否し、トキは彼を松江に連れ帰ることができませんでしたが、約3年後、トキは再び松江で錦織と再会することになります。この再会が、レフカダ・ヘブンとの出会いへと繋がる重要な伏線となるのです。
小泉八雲(レフカダ・ヘブン)との出会い:松江での波乱と信頼関係の構築
ドラマ第5週「ワタシ、ヘブン。マツエ、モ、ヘブン。」では、明治20年(1887年)から約3年が経過した松江を舞台に、島根県知事の江藤安宗(佐野史郎)に招かれた英語教師、レフカダ・ヘブン(トミー・バストウ)が松江の地に降り立つ場面が描かれます。多くの人々が「異人」の来訪に物見遊山で出迎える中、トキや友人のサワ(円井わん)らもその場にいました。ヘブンが到着する直前、トキが目にしたのは、通訳を務める錦織友一の姿でした。
しかし、自由奔放で好奇心旺盛なヘブンは、初対面の錦織が制御できるような人物ではありませんでした。対岸の天国遊廓から聞こえてくる三味線の音に夢中になり、「オー、シャミセン!」と叫んで遊廓の方へと走り去ってしまいます。歓迎式典を控えている錦織は必死に連れ戻そうとしますが、ヘブンは路地の奥へと進み、松江大橋に近い花田旅館を気に入り、そこに滞在することを勝手に決めてしまいます。江藤知事からは、ヘブンを松江に留め、英語教育に従事させるよう再三指示されている錦織は、その不可解な行動に戸惑いを隠せません。しかし、ヘブンが慣れない松江の地で戸惑っていたことも理解できるようになり、次第に二人の間には強い信頼関係が醸成されていく過程が描かれています。
錦織友一と小泉八雲が織りなす松江の物語
吉沢亮演じる錦織友一は、「ばけばけ」において、単なる英語教師としてだけでなく、小泉八雲(レフカダ・ヘブン)という異文化の人物と日本の文化、特に松江の風土とを結びつける重要な架け橋となります。彼の挫折と再起、そしてヘブンとの出会いと信頼構築の物語は、視聴者に明治時代の日本の社会や異文化交流の難しさ、そして人間関係の温かさを伝えています。西田千太郎という実在の人物をモデルにした錦織友一の存在は、ドラマに一層の深みと歴史的リアリティをもたらしており、今後の展開で小泉八雲との関係がどのように描かれていくのか、そして歴史上の「突然の終わり」がどのように示唆されるのか、大いに注目されます。この物語は、松江という美しい土地を舞台に、言葉と文化を超えた友情と理解の可能性を提示してくれるでしょう。
 
					




