高市首相の初期外交を徹底検証:トランプ氏との「親密」アピールと識者評価への波紋

高市早苗氏が首相に就任して約10日、その初期外交が国際社会の注目を集めている。特に、ASEAN首脳会議への出席、トランプ前米大統領との日米首脳会談、そして韓国の李在明大統領との日韓首脳会談は、今後の日本外交の方向性を占う上で重要な意味を持つ。政権発足間もない高市首相の積極的な外交姿勢は、国内外で多様な評価を呼んでおり、その手腕と影響力について多角的な検証が求められている。

高市首相、多忙な初期外交を展開

高市首相は、就任後間もなく多忙な外交日程を精力的にこなした。まず、26日にはマレーシアで開催されたASEAN首脳会議に出席し、地域協力の重要性を強調することで、国際舞台における日本の役割を再確認した。続く28日には、6年ぶりに来日したドナルド・トランプ前米大統領との日米首脳会談に臨んだ。この会談では、高市首相が安倍晋三元首相の「後継者」としての立ち位置を強くアピールし、トランプ氏との「親密な関係」を構築することで、日米同盟の一層の強化という共通認識を確認した。会談後、高市首相はトランプ氏と腕を組み、大統領専用ヘリ「マリーンワン」に同乗して横須賀米軍基地へ移動するなど、その親密ぶりを公に示した。

さらに、30日には韓国・李在明大統領と現地で会談を行った。高市首相には「保守強硬派」というイメージがつきまとい、一部では日韓関係悪化への懸念も指摘されていたが、両首脳は相互訪問を継続する「シャトル外交」の維持を確認し、友好関係の発展に意欲を見せた。これらの動きは、高市外交が多方面にわたり、既存のイメージを払拭しつつ、国際関係の安定と強化を目指すものであることを示唆している。

高市早苗首相、日米首脳会談後の活発な外交活動高市早苗首相、日米首脳会談後の活発な外交活動

政治ジャーナリスト田﨑史郎氏の「70点」評価とその背景

高市首相の一連の外交活動に対し、政治ジャーナリストの田﨑史郎氏(75)は、30日放送の『ひるおび』(TBS系)で「70点」という評価を下した。田﨑氏は、当時31日に開催で調整されていた日中首脳会談(放送時点)の実現に言及し、「実現すれば評価が高まる。会談内容に注目」と述べた。また、過去に習近平国家主席と石破茂氏がAPECで会談した事例を挙げつつも、高市首相に対する中国の「警戒感」があったにもかかわらず、中国側が会談に積極的であることについて、「やはり高市さんに勢いがあるから、(中国が)付き合った方がいいと判断したのではないか」と分析した。

政府高官からは日米首脳会談に「100点満点」の評価が報じられる中、田﨑氏の70点という採点は一見すると控えめにも聞こえる。しかし、一般的には合格点であり、日中首脳会談の結果次第では更なる高評価も期待できるという、ある種のエールとも解釈できるだろう。

世論の厳しい目:田﨑氏評価への反発と「高市サゲ」の批判

しかし、田﨑氏のこの「70点」評価は、ネットニュースのコメント欄で強い反発を招いた。「何様ですか?」「実際の点数は100点に近い」といった辛辣な声が多数寄せられ、一部では田﨑氏の採点基準自体が「信用できない」とまで言及された。この背景には、最近の田﨑氏の発言に対する世論の不信感がある。

特に、高市氏と小泉進次郎防衛相が熾烈に争った自民党総裁選での田﨑氏の発言は、その中立性に疑問符を投げかけるものだった。当初、小泉氏の当選確実というスタンスを崩さず、高市氏勝利後も「党運営や政権運営がかなり苦労されるのではないか」「党全体がちょっとギスギスしそう」などと、高市氏に対する否定的な見方を示す発言を連発した。これが、一部で「高市サゲ」(高市氏を不当に低く評価する)と批判される所以となった。

今回の「70点」評価も、田﨑氏の過去の「高市サゲ」発言の影響から、多くの読者には「高得点」と受け止められにくかったようだ。各局の支持率調査にも表れているように、世論では高市首相への期待が異常に高い状況であり、このような背景が、田﨑氏の主張が容易に「否定」されてしまう現状を生み出している。

結論

高市首相の初期外交は、ASEAN、米国、韓国といった主要国との関係強化に積極的に取り組み、その手腕は国内外から大きな注目を集めている。特にトランプ前米大統領との「親密」アピールは、国際社会において日本の存在感を示す上で重要な役割を果たした。一方で、政治ジャーナリストによる評価は、世論の高い期待や過去の言動と相まって、賛否両論を巻き起こしている。これは、国民が高市首相の外交政策に寄せる関心の高さと、情報発信者に対する厳しい目を反映していると言えるだろう。高市首相の今後の外交手腕と、それが日本と世界の政治地図にどのような影響を与えるのか、引き続き注目が集まる。

参考文献