東大生が語る!高得点こそ要注意?『ドラゴン桜2』に学ぶ「親の関わり方」

現役東大生が人気漫画『ドラゴン桜2』を題材に、現代の教育と受験の「ホンネ」を読み解く連載は、多くの保護者や学生から注目を集めています。今回は、お子様がテストで高得点を取った際に、親がどのように関わるべきか、見落としがちなポイントと効果的なアプローチについて深く掘り下げます。単なる喜びの共有で終わらせず、その一歩先を見据えた「真の合格力」を育むためのヒントを、具体的な声掛けや行動の側面からご紹介します。お子様の成長を促し、将来の成功へと繋がるための保護者の役割を、改めて考えてみましょう。

高得点の「喜び」に潜む落とし穴

模擬試験や学期末テストで予想以上の高得点が出ると、子どもたちはもちろん、保護者も大いに喜び、その成果を分かち合いたくなるものです。漫画『ドラゴン桜2』でも、東京大学現役合格を目指す天野晃一郎と早瀬菜緒が予想以上の高得点に歓喜するシーンが描かれています。しかし、この「喜び」の中にこそ、見落とされがちな落とし穴が潜んでいると現役東大生は指摘します。

テストが返却された際、多くの生徒は間違った問題の復習に意識が向きがちですが、特に「高すぎる点数」だった時ほど注意が必要です。なぜなら、その中には「まぐれで正解した問題」や、たまたま習ったばかりの範囲が出題されたなど、「実力以外の要因」で点が取れた問題が隠れている可能性があるからです。悪い点を取った時に原因を分析するのと同じくらい、良い成績だった時も「なぜ良かったのか」を冷静に分析する姿勢が求められます。

保護者の「一歩引いた声掛け」が子どもの成長を促す

子どもが良い成績を収めた際、保護者が「よくやったね!」「すごい!」と感情を共有することは、子どもの自己肯定感を育む上で非常に重要です。しかし、そこで会話を終わらせてしまっては、貴重な学びの機会を逃してしまうことになります。大切なのは、一歩引いた視点から「どうしてこんなに良い点が取れたんだと思う?」と、原因を問いかける声掛けです。

この問いかけは、喜びという「感情」に満たされた子どもの思考を、「論理的(原因分析)」なモードへと切り替えるための重要なスイッチとなります。子どもからは「今回は簡単な問題が多かったから」「この前の週末に復習した範囲がそのまま出たから」といった客観的な答えが返ってくるかもしれません。また、「計算ミスの見直しを増やすようにした」「国語の文章を読む際に本文に印をつけて読むように心がけた」といった具体的な成功要因が見つかることもあります。どのような答えであれ、自分の成功体験を客観視し、それを言語化するプロセスそのものが、次なる学びへと繋がる貴重な経験となるのです。

『ドラゴン桜2』の登場人物がテスト結果に喜ぶ様子『ドラゴン桜2』の登場人物がテスト結果に喜ぶ様子

ただし、この声掛けの際には、決して「本当にわかっているの?」「まぐれじゃないの?」と問い詰めるような言い方にならないよう注意が必要です。あくまで、子ども自身が自分の成功要因を「発見」する手助けをする、という協力的な姿勢が肝心です。保護者が冷静に、そして建設的に問いかけることで、子どもは自らの学習プロセスを深く理解し、より効果的な学習方法を確立する力を養うことができます。

「良い成績だからお小遣い」が持つ危険性

「次のテストで○点以上取ったら、お小遣いをあげる」といった形で、良い成績を金銭的な報酬と結びつけるケースは少なくありません。保護者としては子どもの努力を認め、モチベーションを高めたいという思いから行われることが多いのですが、このやり方には大きな問題点が潜んでいます。最大の欠点は、子どもの目的意識がすり替わってしまうことです。

本来、「良い成績を取る」という目標は、知識の習得や学力向上という本質的な目的に繋がるべきものです。しかし、金銭的な報酬が設定されると、子どもの目的が「お金をもらう」という目先の利益に取って代わられてしまう可能性があります。そうなると、子どもは実力をつけることよりも、お金をもらうための最も効率的な手段を選ぼうとするかもしれません。これは、カンニングやごまかしといった不正な手段に手を染める動機付けにすらなりかねない、非常に危険な側面を持ちます。さらに、目先の点数ばかりに注目してしまうため、「なぜこの点数が取れたのか」という本質的な原因分析がおろそかになりがちです。

もし子どもの努力を報酬という形で認めたいのであれば、その報酬は次の「学び」に繋がるものであるべきです。例えば、新しい参考書や興味のある分野の本を買ってあげる、科学博物館や歴史イベントなど、学びを深める機会を提供するといった形が考えられます。

良い成績は決して最終的なゴールではありません。それは、自分の学習方法が正しかったのか、あるいは単に運が良かっただけなのかを検証するための絶好の「材料」なのです。この貴重な材料をいかに分析し、次の一手へと繋げられるか。喜びを爆発させた後の行動こそが、お子様の真の合格力、ひいては社会で活躍するための応用力を左右すると言えるでしょう。